2021 Fiscal Year Research-status Report
地理的表示制度における『結びつき』の意義の再検討と、工芸品等の保護の是非
Project/Area Number |
20K01413
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
荒木 雅也 茨城大学, 人文社会科学部, 教授 (90451666)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 地理的表示 / 結びつき / 工芸品 / テロワール / 社会的評価 / 品質中立主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年11月に、国内外の地理的表示制度の様々な論点をテーマとする『地理的表示法制の研究』(尚学社、ISBN:0978-4860311704)を上梓した。単著で、全251頁である。同書では、地理的表示に関する多様な論点を取り扱っているが、本研究の研究課題について論じた論文も収録されている。 当該論文題目は、①「地理的表示制度の意義と必要性」(第1章)と②「社会的評価、追加的保護、普通名称」(第2章)である。①の中で、地理的表示制度における「結びつき」の意義につき最新の研究成果(特に、デルフィーヌ・マリー・ヴィヴィアン博士の研究)を踏まえて検討し、②の中で、工芸品等を地理的表示制度の保護対象とすることの是非についてのEU(欧州委員会や欧州議会など)における議論の状況を概観し、EUにおいて、工芸品等を保護対象として取り込むベストする声が高まっていることを紹介している。 本研究の最終的な目標は、わが国の地理的表示制度において、工芸品等を保護対象とすべきか否かについて検討することであるが、この論点について考えるうえでの視座を得ることができたと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、①インドなどのアジア主要国の制度の概要を把握すること、②地理的表示制度における結びつきの意義について検討すること、③我が国において、工芸品等を地理的表示制度の保護対象とすべきか否かについて検討することを課題としている。 これらのうち、研究全体の分析の視座となる論点は②であるところ、これについては一定の成果が上がっている。 ①については、現時点で論文等で公表はしていないが、おおむね基礎的な調査は終わっている。③については、今年度中に考察を終えることができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のように、本研究では、①インドなどのアジア主要国の制度の概要を把握すること、②地理的表示制度における結びつきの意義について検討すること、③我が国において、工芸品等を地理的表示制度の保護対象とすべきか否かについて検討することを課題としている。 今後は、これらのうち、①③についての分析の結果を論文などにおいて公表することを目標としたい。①については、特に、現時点でEUとインドとの間でFTA締結交渉が開始されているので、インドの動向を重要なポイントとして、研究を進めたい。③については、わが国と、主要国との考え方の違いを明らかにすることから考察を始めたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、予定していた海外における調査を中止したため。未使用額は令和4年度の書籍購入等に充てることを考えている。
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