2021 Fiscal Year Research-status Report
医療的ケア児と家族の支援に向けた法的制度的課題の抽出と制度検討
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20K01416
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
畑中 綾子 東京大学, 未来ビジョン研究センター, 客員研究員 (10436503)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 医療的ケア児 / 合理的配慮 / 家族 / 学校 / 在宅ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
医療的ケア児の家族の語りを集めて公開するとともに法的制度的な問題点を抽出する。2022年3月末までに、インタビューの実施終了件数は38件とインタビュー件数はほぼ目標に達した。インタビュー中である2022年冬は、北海道や東北・北陸地方で、豪雪による被害があったほか、2022年3月には東北での地震も発生した。とくに豪雪では、通常の台風や水害とは違い、何日経ってもライフラインが復旧せずに医療的ケア児のいる環境には厳しいものとなる。このような災害経験の際の医療的ケアの維持のための工夫についても、インタビュー実施を試みたが、あまりに現実の被害が大きく、インタビューには応じられないとの返答であった。今後のフォローが求められる。 インタビューの内容をデータベースにするためには、内容を整理するコーディングと呼ばれる作業が必要となる。インタビュイーに最終確認をいただいた内容をもとに、コーディングソフトを使って、コードのタグづけを行う作業を並行して、順次行っている。コーディング作業にあたっては、必要なコードの選定、階層付けなどについてチーム内で話し合い、問題が起きるごとの変更も行っている。3月末までにコーディングは20件終了し、5月上旬には35件のコーディング完了を目指している。コードづけをもとに、実際のホームページでの公開に向けてどのようなストーリーで見せていくか、どのような語りを紹介するかの元となる、語りのまとまりを示すためにはOSOP(One Sheet of Paper)分析が必要となる。この分析に向けた研修を3月30日に対面で実施した。 教育現場での合理的配慮の求めもあるもののまだ十分ではない看護師や予算配置の状況、また通院にかかる交通費や親の入院付き添いなど、周辺の問題が指摘された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍ではオンラインインタビューに切り替え実施している。国内外の学会の開催がないため、その点では計画変更を。余儀なくされている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで課題であった地域の偏りやお子さんの年齢や障害等級の偏り、語り手の性別の偏りについては、リクルート方法を工夫することでかなり解消された。熊本の震災や水害、東日本大震災など大規模災害を経験した方の語りも集めるためのリクルートもかなり行ったが、心の傷が大きいことや、いまだその影響から抜け出していないご家族も多いことから、実施は困難であったが、時期を待って短時間でも状況を確認したい。 研究のスケジュールを立てた当初はコロナ禍の前であったため、国内外の研究集会や学会への参加を予定し、予算も計上していたが、多くの学会や学術集会が延期や中止となった。オンライン開催で行うところもあるが、個別報告を動画等で視聴できるのみで、ワークショップなどの交流企画は中止など、発信できる場や交流できる場が減っている。今後、政策提言などにつなげていく際に、どのような学会や団体と連携していくことができるかが課題である。 2022年5月にDIPEX INTERNATIONALがスイスで開催予定である。ヨーロッパの国々からは対面参加となる国が多いが、日本ではいまだCOVID-19により、渡航後の隔離期間の問題があり、日本からの参加者はいない、もしくはきわめて限定的になる予定である。今年は、コロナ対応に対する各国での対応についての検討や、国際規模での障害学生の語りなど、医療的ケア児の家族の語りに通じるプロジェクトが多くあり、大変残念であるがオンラインでの参加を行う。 インタビューの内容をデータベース化するためには、コーディングや分析作業がもっとも重要であり、ここに大変な労力と時間がかかる。5月上旬にコーディングがほぼ完成した段階で一気に取り組み予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍が続き、インタビュー先とはオンラインですべておこない対面がなくなったことと、国内外の研究会や学会がすべて中止、延期となり旅費が大幅に必要なくなった。次年度は市顎のデータベースの作成と公開の時期となるため、充実した公開に向けた字幕の設置や公開シンポジウムでの使用を計画している。
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Research Products
(3 results)