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2022 Fiscal Year Research-status Report

野生動物の「責任ある保護管理」のための法制度と実効性ある公的助成施策の検討

Research Project

Project/Area Number 20K01417
Research InstitutionUniversity of Toyama

Principal Investigator

神山 智美  富山大学, 学術研究部社会科学系, 教授 (00611617)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2024-03-31
Keywords野生動物 / 責任ある保護管理 / 縮減社会 / 野生動物保護管理学 / 公的助成
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、野生動物の「保護管理」のための法制度として、主に北米との比較研究をすることを予定している。その内容は、①鳥獣被害防除のための管理捕獲の法的仕組み、②公的資金助成(補助金)の仕組み、③市街地に侵入する鳥獣、④感染症を媒介する鳥獣について、を4つの柱としていた。一昨年度は新型コロナウイルス感染症禍の影響も有り、東南アジアを含めて④を重点的に行った。昨年度は、米国の狩猟を含むレクリエーション法制に関連して①と③北米の外来種通報システム(公衆参加の仕組み)について研究した。加えて、米英の動物福祉の仕組みも研究した。
今年度は、これらに引き続き、主に①②③を実施できた。加えて、北米だけではなく、オーストラリア(豪州)およびニュージーランドという英米法圏についても比較検討できた点が大きな成果である。
①米国、豪州およびニュージーランドにおける狩猟の仕組みと獣害管理の仕組みを比較検討した。特に、農業被害に対しての有害捕獲に関する制度は精緻に行った。さらに「わなについての国際協定(ロシアおよびヨーロッパ諸国との国際人道的わな猟基準協定(AIHTS)」の締約国に問われている動物福祉の観点、および「渡り鳥条約(渡り鳥協定等)」の締約国に求められつつある鉛弾による環境汚染防止については、各国の締約状況と国内執行法・州法(わな猟規制や鉛弾規制)の関わりについての調査・検討も行った。
②公的助成制度(補助金)の仕組みを調査する中で、市場経済の中に位置づく野生動物保護管理制度やレクリエーションの仕組みを検討できた。
③米国、豪州およびニュージーランドにおいても、市街地に侵入する鳥獣の管理については管理捕獲のみならず、啓発活動も続けられている。加えて、日本においても市街地にクマが出没した具体的な対処事例(裁判事例)における「狩猟免許」「銃砲所持許可」および「管理捕獲隊資格」等の関わりを整理した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

昨年までの遅れを取り戻すべく励み、北米だけではなく、オーストラリア(豪州)およびニュージーランドという英米法圏についても比較検討できた点が大きい。
公的助成等の資金面についての調査が、文献調査からかなり進めることができたことも大きい。
また、英米圏を比較した理由は、各国の「わなについての国際協定(ロシアおよびヨーロッパ諸国との国際人道的わな猟基準協定(AIHTS)」、および「渡り鳥条約(渡り鳥協定等)」の締約状況と、それぞれの国の国内執行法・州法(わな猟規制や鉛弾規制)との関わりについての調査も行ったためであった。わなについての国際協定に加入しているカナダやカナダとロシアに挟まれているアラスカ州等も文献調査し、米国は同協定には加盟していないが、アラスカ州は輸出のためにカナダとロシアと同等の州法を有している点等は興味深く、一定の成果を得たと確信している。
さらに、狩猟の仕組みにとどまらず、豪州における野生動物保護管理領域における先住民との共生やカンガルー牧場の経営のあり方、ニュージーランドの養鹿業や狩猟を国の観光資源として活かしている施策等についても紹介し提言できたことが大きな成果と考えている。

Strategy for Future Research Activity

最終的な目標の一つは、日本の野生動物保護管理法への「より有益かつ実践的な提言」である。これまで比較法からの提言をしてきたため、日本法研究という形ではまとめられていない。それゆえ、研究テーマとしても「責任ある保護管理」としており、今後は、日本国内における法的仕組みとしてどのような形が望ましいのかという観点で、取りまとめ出来るよう努める所存である。

Causes of Carryover

当初、米国および国内における現地調査を計画していたところ、それらが新型コロナウイルス感染症禍のため出来なかったことから、次年度繰越金が発生している。そこで、研究期間を1年間延長し、一層の研究の深化と、日本の法制度への提言としてまとめることを試みる所存である。

  • Research Products

    (7 results)

All 2023 2022

All Journal Article (5 results) (of which Open Access: 2 results,  Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] 諸外国における鳥獣保護管理(狩猟)制度の調査「米国における鳥獣保護管理(狩猟)制度の調査:北米モデル、鉛弾規制、公的助成と損失補償、わな猟規制と動物福祉および執行機関」2023

    • Author(s)
      神山智美
    • Journal Title

      (公社)商事法務研究会、『(環境省請負調査)令和4年度 諸外国における環境法制に共通的に存在する基本問題の収集分析業務報告書(2) 諸外国における鳥獣保護管理(狩猟)制度の調査』

      Volume: 2 Pages: 55-86

  • [Journal Article] 諸外国における鳥獣保護管理(狩猟)制度の調査「オーストラリアにおける鳥獣保護管理(狩猟)について:鉛中毒対策、有害鳥獣捕獲、および先住民との共生を中心に」2023

    • Author(s)
      神山智美
    • Journal Title

      (公社)商事法務研究会、『(環境省請負調査)令和4年度 諸外国における環境法制に共通的に存在する基本問題の収集分析業務報告書(2) 諸外国における鳥獣保護管理(狩猟)制度の調査』

      Volume: 2 Pages: 105-128

  • [Journal Article] 諸外国における鳥獣保護管理(狩猟)制度の調査「ニュージーランドにおける鳥獣保護管理(狩猟)制度の調査:観光産業の資源としての狩猟の活用、鉛弾規制、鹿産業(養鹿)」2023

    • Author(s)
      神山智美
    • Journal Title

      (公社)商事法務研究会、『(環境省請負調査)令和4年度 諸外国における環境法制に共通的に存在する基本問題の収集分析業務報告書(2) 諸外国における鳥獣保護管理(狩猟)制度の調査』

      Volume: 2 Pages: 129-146

  • [Journal Article] 判例評釈・行政処分取消請求事件:市の要請でヒグマ1頭を駆除したことにつき鳥獣保護管理法および銃砲刀剣類所持等取締法違反があるとしても,これを理由とするライフル銃の所持許可の取消には裁量権の逸脱・濫用があるとした事例。(札幌地判令和3年12月17日・判タ1495号158頁)2022

    • Author(s)
      神山智美
    • Journal Title

      富大経済論集

      Volume: 68(1) Pages: 111-125

    • DOI

      10.15099/00022072

    • Open Access
  • [Journal Article] アニマルウエルフェアと畜産業に関する一考察―生卵と食肉製品の今後を考える2022

    • Author(s)
      神山智美
    • Journal Title

      企業法学研究

      Volume: 11(1) Pages: 25-42

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] アニマルウェルフェアと家畜産業について考える2022

    • Author(s)
      神山智美
    • Organizer
      企業法学会・研究報告会
  • [Presentation] 野生動物の保護管理に関する法 : 歴史、現行、および課題の克服2022

    • Author(s)
      神山智美
    • Organizer
      日本学術会議 統合生物学委員会ワイルドライフサイエンス分科会(2022年第6回)
    • Invited

URL: 

Published: 2023-12-25  

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