2023 Fiscal Year Research-status Report
Consideration of the Relationship between Public Health and Intellectual Property Law Both Contributing to Access to Medicine and intellectual property protection
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20K01429
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
加藤 暁子 日本大学, 法学部, 教授 (40438750)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | COVID-19 / ワクチン / 特許権 / COVAX / 知の共有 / 治療薬 / 地球公共財 / ACT Accelerator |
Outline of Annual Research Achievements |
・COVID-19パンデミックという緊急事態において顕在化したCOVID-19に関するワクチン及び治療薬その他の医療製品へのアクセス問題に関して、本研究でこれまでに検討してきたインド、米国と比較しながら、バングラデシュに関して検討した結果を、学会発表・論文として公表した(学会事務局の許可の下に英文論文として学会誌に投稿予定)。 ・事例として、さらに、2000年代にHIV/AIDSパンデミックに際して治療薬に関する特許権に対して強制実施権の発動を提示して大幅な薬価引き下げを導き、医薬品アクセスを改善し、その技術的余力を以て、COVID-19パンデミックにおいても、2023年特許法改正を通じて緊急事態における強制実施権制度を強化しながら、ワクチン及び治療薬の国内製造を進めたブラジルについて検討し、学会発表予定である。また、COVID-19ワクチンの調達への懸念から、TRIPS協定31条の2に基づく特別な強制実施権制度の利用を申請したアンチグア・バーブーダ及びボリビアにおける事態の推移を検討し、学会発表、論文公表を行った。 ・以上を含め、文献及びオンラインのデータをベースとする検討は、相応に進めることができた。緊急事態における医薬品アクセス問題への対応における特徴的な点を指摘し、一定、体系的に論じられる可能性を見出しつつある。他の研究プロジェクトで賄うことができたために、本研究の研究費の運用上、余裕も生じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでの検討結果を裏付けるための対面或いはオンラインでの当事者インタビューや実地の海外調査を、実施するに至っていない。 さらに、本研究が目標としている、緊急事態における医薬品アクセスの追求の経験を平時の非感染症に関わる医薬品アクセス問題に敷衍、接合しての検討が、残されている。
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Strategy for Future Research Activity |
・国際的な公衆衛生上の緊急事態における医薬品アクセス問題と知的財産保護の検討は、事例検討を含めて一定、進めることができた。その成果をどのように踏まえて、平時からパンデミック対応にいかに備えるかが、近時ではWHO及びWIPO、WTOをはじめとする国際フォーラムで議論されている。 その下で、本研究では、当初掲げた目標に向けて、 ①COVID-19パンデミックの経験から、平時における非感染症への対応に関するアクセス問題へも示唆を得ることはできないか、国内外での議論状況も把握しながら、検討を進めたく考えている。 ②緊急事態における医薬品アクセス問題について、本研究では、現在まで、文献及び国内外のデータをもとに検討してきた。事例として取り上げた対象国や世界的な対応を司った国際機関等の当事者に対してヒアリングを行う等の実地調査が、未実施である。再度の延長申請を認められた場合、可能な限り、実地調査を踏まえて結果を取りまとめたい。
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Causes of Carryover |
・次年度使用額が生じた理由:研究者が参加している他の共同研究における研究分担金から、本研究において必要な支出を一定程度カバーすることが可能であったため。 ・次年度の使用計画 ①COVID-19パンデミックの経験に関して、引き続き、文献、データを収集するとともに、検討手法についてデータ分析の専門的知見を有する者から助言を得るヒアリングも行いたい。②平時の非感染症への対応に関するアクセス問題へと検討を敷衍していく上で、関係テーマを扱う研究者等に助言を得ることを検討する。 ③緊急事態における医薬品アクセス問題について、これまで文献及び国内外のデータをもとに検討した、事例として取り上げた対象国や世界的な対応を司った国際機関等の当事者に対して、可能な限り、ヒアリングを行う等の実地調査を実施したい。
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