2023 Fiscal Year Research-status Report
知的財産法における公示機能の確保ー著作権法および標識法を中心にー
Project/Area Number |
20K01432
|
Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
小嶋 崇弘 駒澤大学, 法学部, 准教授 (80722264)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | ファッション / アップサイクル / 商標法 / 表示の希釈化 / 表示の汚染 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、知的財産法(特に標識法および著作権法)における公示機能を確保し、外部性を有する成果物の利用または市場における商品間の競争を促進するために、望ましい解釈論および立法論を検討することを目的とする。 2023年度は、第1に、商標が付された商品の再販売および改変について比較法研究を行い、その成果を論文として公表した。リセール・プラットフォームの普及等により、中古衣料品市場は拡大傾向にあり、特に、高級ブランドの商品は高品質で耐久性が高いため、再販市場において人気が高い。また、リセール市場において販売される商品の中には、中古品を再利用して、それに新たなデザインを施すなどして元の商品に付加価値を持たせたものが含まれている。このような状況において、米国ではファッショ関連商品のアップサイクルをめぐる法的紛争が増加している。本研究は、この問題に関して裁判例・学説の蓄積がある米国商標法を分析することにより、商標権者の商品に改変を加えて再販売する行為の商標権侵害該当性および不正競争行為該当性(不正競争防止法2条1項1号・2号)について日本法の望ましい解釈論を展開したものである。 第2に、昨年度に引き続き、著名表示の汚染規制に正当化根拠について、米国を中心とする学説・裁判例の分析を行なった。そこでは、表示の汚染がいかなるメカニズムで消費者のブランドに対する認知に影響を与え、著名表示主体に経済的不利益を生じさせるのかを検討した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
商標が付された商品の再販売および改変の標識法上の取り扱いについて比較法研究を昨年度に引き続き、その成果を公表することができた。もっとも、同時に進めている著名表示の希釈化規制の正当化根拠に関しては、米国の学説および裁判例を分析する作業に想定した以上の時間を要したため、研究成果の公表に遅れが生じてしまった。
|
Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、著名表示の汚染規制に正当化根拠に関する研究成果をまとめて、論文として公表することを目指す。
|
Causes of Carryover |
国内外の研究会等へ複数回出張することを予定していたが、対面で開催予定の研究会の多くはオンラインでの開催に変更となった。そのため、旅費については支出の必要がなくなった。その分は、文献調査のための図書雑誌資料の購入に支出することに加えて、対面実施の研究会等の開催が可能となれば、これらに参加するための旅費に充てる予定である。
|