2020 Fiscal Year Research-status Report
現代アメリカ政党の支持基盤と集票過程の変容:トランプ政権以後の検証
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20K01441
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
渡辺 将人 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 准教授 (80588814)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 選挙 / 政党 / 共和党 / 民主党 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度においては、2020年大統領選挙年の調査を進めた。前年度在外研究でハーバード大学国際問題研究所において行ったアイオワ州を中心とした予備選挙現地調査のデータ整理を行った上で、本選後にはバイデン陣営と民主党全国委員会の内部関係者の聞き取り調査をオンラインで行い、集票戦略の詳細を調査した。民主党が、第1に選挙戦を現職のトランプ大統領への信任投票と位置付け、特にコロナ対策、医療体制、経済の3点を失政と定義したこと、第2に、リーダーシップのスタイル・指導力をめぐる選挙と定義し、バイデン候補の公約として、社会保障、医療、安全な学校教育の再開、経済、コロナ対策を重点としたことなどを明らかにした。浮動票の説得戦略として、伝統的な白人浮動票以外の非白人、トランプ不支持や棄権希望の「造反票」の取り込みを重視したほか、バイデン支持者連合は、中心的基礎票と周辺的支持票に2層(ラティーノ、黒人、若年層、女性のグループ、政権に不満を持つ有権者、無党派層、郊外住人、高齢層のグループ)に分類されていたことも明らかにした。サンダース派が第三候補化せずにバイデン支持に協力した「反トランプ」熱による結束は顕著であり、人種的マイノリティの女性副大統領候補も女性票の掘り起こしに奏功したが、共和党側では保守系最高裁判事承認による福音派票の活性化も見られた。新型コロナウイルスの本選に対する影響に関しては、トランプ政権の追い風だった経済の悪化、現職優位性への逆作用が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの蔓延により、アメリカでの現地調査が困難となった。オンラインによる聞き取り調査で代替したが、新規のインフォーマントの開拓と信頼関係作り、オフレコの聞き取りによるオンレコの聞き取り調査の精度強化などが困難となり、大統領選挙年として予定されていた党大会現地調査を断念するなどの影響がでた。他方、論文、書籍などの成果物に関しては、少なからずの成果があった。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの蔓延により、アメリカでの現地調査が困難な中、2つの方向で研究成果の維持に努める。第1にオンラインによる調査の継続である。聞き取り調査とともに、政党や活動家のオンライン会議(Zoom形式)への非公式の参加による観察調査を拡大し、オンライン特有の利点も活かす。第2に同様の研究を行うアメリカやアジアの研究者との相互連携による比較考察である。特に選挙研究の活発さとアメリカとの関係性が深い台湾での調査や報告による研究の深化も選択肢に入れる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス蔓延によるアメリカ現地調査の中止により。コロナ禍の情勢を見ながら可能な範囲で出張や調査を再開する。
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Research Products
(9 results)