2022 Fiscal Year Annual Research Report
Republics in the World of Journalism: A Study on Republican Movements in the English Revolution
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20K01450
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
大澤 麦 東京都立大学, 法学政治学研究科, 教授 (30306378)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 共和主義 / イギリス革命 / ジャーナリズム / レヴェラーズ / メディア史 / 新聞 / 急進主義 / ニーダム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、革命期イングランドにおいて発行された広報誌あるいはニュース誌と呼ばれるニュース媒体を分析することにより、当時における共和主義の特質と動態を明らかにすることにある。その際にとくに本研究が留意したのが、(1)1640年代の急進派と1650年代の共和派との関係、そして(2)革命期に発達したジャーナリズムとりわけ広報誌あるいはニュース誌と呼ばれるニュース媒体の共和主義思想への貢献という二つの視角から、イングランド共和国の体制原理と共和主義との関係を問い直すことであった。今年度は、この目的の遂行のために、以下の2点について研究成果をあげた。 (1)王制から共和制への国制の転換期に発行されたニュース誌『モデレート』と急進派レヴェラーズとの関係を考察し、前者が共和政体樹立のための未遂のプランを推進していたことを学術論文「ニュース誌『モデレート』(1648~9年)と革命期イングランドの急進主義政治思想」(『法学会雑誌』64-1)において論証した。 (2)本研究全体の総括になる研究報告を、2023年6月17日に同志社大学で開催される第18回日本ピューリタニズム学会研究大会で行うことが決定されている。内容は、従来別個の政治運動と考えられてきた1640年代のレヴェラーズと1650年代の共和派とをどう統一的に理解するかという問題を、ニュース誌を手掛かりに考えるというものである。具体的には、前者を代表するレヴェラーズのニュース誌『モデレート』と後者を代表するマーチャモント・ニーダム編纂の共和国政府の広報誌『メルクリウス・ポリティクス』とをつなげる媒介項として、ジョン・ストリーター編纂のニュース誌『アリストテレス論』を理解するという構想である。これによって、ピューリタン革命全体の政治的急進主義を総合的に理解するための視座を獲得することができ、冒頭に記した本研究全体の目的が十分に果たされたと考えるものである。
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