2020 Fiscal Year Research-status Report
A Study on History of Liberalism as Political Thought: Transformation of Value System 1945-1955.
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20K01452
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Research Institution | Kyoritsu Women's University |
Principal Investigator |
上田 美和 共立女子大学, 国際学部, 准教授 (00726391)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 政治史 / 日本近現代史 / 思想史 / リベラリズム / 自由主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究課題の目的は「価値転換期=1945~1955年におけるリベラリズムを政治思想史的に解明し、リベラリストたちの共通点・差異・対立点・多様性を考察すること」である。当初の計画では、当課題1年目に、清沢洌のような「価値転換期前に死去したリベラリスト」の研究を行う予定であったが、研究代表者が参加していたプロジェクトの進捗により、2年目以降に取り組む予定の「価値転換期に活躍したリベラリスト」の研究を先に発展させることにした。 研究代表者は、当該期の新聞雑誌資料調査を行い、言論内容を分析し、価値転換期に活躍したリベラル系知識人の政治思想と、戦争経験との関係を考察した。成果を「知識人の戦争責任論 当事者意識の視角から」にまとめ、図書『戦中・戦後の経験と戦後思想 1930~1960年代』に発表した。 研究代表者は、戦中・戦後日本のリベラリストである鳩山一郎の政治史研究プロジェクトに参加し、当該期の新聞雑誌資料および、『鳩山一郎・薫日記』などの一次史料を調査した。一郎の配偶者である鳩山薫については、これまで基礎的な研究が存在しなかったが、研究代表者は精査した資料を活用し、その思想と行動を分析した。その成果を「鳩山薫夫人 一郎の『足もとを守るひと』として」にまとめ、図書『鳩山一郎とその時代』に所収、出版された。 リベラリスト一郎の母春子と配偶者薫の社会活動を考察した論文「鳩山春子・薫の時代 近代日本の家政書を読む」を執筆し、大学紀要に発表した。書評「矢嶋光著『芦田均と日本外交ー連盟外交から日米同盟へー』を学会誌に発表した。当研究課題に関連の深い芦田均についての研究書を書評することにより、最新の研究動向と到達点を整理することができた。 以上の研究成果を図書、雑誌論文としてまとめ、社会へ広く公表することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナウィルス感染症の世界的流行により、研究活動に制約がありながらも、現状で可能な手段により資料収集を行い、論文執筆を遂行することができた。研究成果の発表についても、関係各位のご尽力のおかげでスムーズにできた。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナウィルス感染症による研究活動の制約は今後も続いているため、在外研究活動は難しいかもしれないが、昨年同様、現状で可能な手段を追求して資料を収集したい。また、本研究課題と深く関連する新たな研究プロジェクトも立ち上がっているので、その活動を開始する。論文執筆についても今年度のテーマを決めているので、執筆に取り組む。研究会・学会についてはzoomなどの遠隔システムを利用して積極的に参加し、研究発表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
コロナウィルス感染症流行のため、在外研究調査が実行できなかったこと、学会参加がオンラインになったため、旅費がかからなかったことから、残金が生じた。今後、状況の改善とともに在外調査や学会参加の再開が可能になれば、この費用に充てたい。
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