2020 Fiscal Year Research-status Report
The relations between the theory of state and the discourse of international society in Edmund Burke and its acceptance in German-speaking countries
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20K01459
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
土井 美徳 創価大学, 法学部, 教授 (60306082)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エドマンド・バーク / フランス革命論 / 古来の国制 / 国際関係思想 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「近代保守主義の祖」として一般に知られているエドマンド・バークを考察対象とし、国家論および国制論を論じた彼の政治思想が、フランス革命と反革命戦争のモーメントによって、18世紀の「諸国民の法」(国際法)を触媒としながら、ブリテン帝国論とは別様の「ヨーロッパ・コモンウェルス」という国際社会論へと展開されていく過程を解明し、その現代的意義を明らかにしようとするものである。具体的には、ブリテンの「古来の国制」を論じた彼の国家論と文明社会論の特徴をふまえたうえで、反革命戦争の文脈で展開された彼の「正当な戦争」、「同盟」、「勢力均衡」、「国際法」をめぐる個々の諸言説の背後にあったバークの思想構造を探り出し、これまで十分には解明されてこなかった「バークにおける政治思想と国際思想との連続性」を論証する。 初年度に当たる本年度は、まず上記のバーク思想の展開におけるターニング・ポイントとなった、フランス革命をめぐる彼の最初期の思索、すなわち1789年7月のバスチーユ襲撃から1790年2月の下院におけるバークの「軍事予算に関する演説」に至るまでの思考の筋道をたどりながら、1790年11月刊行の『フランス革命の省察』で表明された反革命思想の成立過程について考察した。まず、一次資料としてはとくにバークの『書簡集』にもとづきながら、バスチーユ襲撃後の一連の書簡において断片的かつ漸進的に表現された、時々の思索内容の背後に成立していた彼の思考構造を、フラン革命以前と以後のバークの政治言説と切り結びながら、再構成を試みた。その際、バークの思考の意図と意味内容を明確に特定するための補助線として、トマス・ペイン、リチャード・プライス、チャールズ・ジェームズ・フォックスのフランス革命以前と以後の思想展開についての分析を設定し、考察を進めた。その研究成果は、初年度に一連の論文として順に公刊をした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度は、当初の研究計画に沿って概ね順調に研究を進めることができている一方で、バークの未刊行の資料、とりわけ当時の国際法の権威であったエメール・ド・ヴァッテルの『諸国民の法』(1758年)に関するバークの研究ノートなどについて、初年度に予定していたイギリスでの資料収集がコロナ禍による渡航制限の関係で実施することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の研究は、初年度の研究成果をふまえて、『フランス革命の省察』以降のバークの反革命思想の展開、とりわけ反革命戦争の正当性をめぐる彼の思考過程について考察を進めていく。また、初年度に予定していた未刊行資料等のイギリスでの収集を、2年度目において実施することができればと考えている。
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Causes of Carryover |
初年度において、未刊行の一次資料の収集をイギリスにおいて実施する計画を立てていたが、コロナ禍による渡航制限により、実施することができなかったため、旅費の使用がなかった。初年度に予定していた現地での資料収集は、次年度において実施する形に研究計画を変更した。
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