2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K01474
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
近藤 正基 京都大学, 公共政策連携研究部, 教授 (80511998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安 周永 龍谷大学, 政策学部, 教授 (10612393)
渡辺 博明 龍谷大学, 法学部, 教授 (20308810)
城下 賢一 大阪医科薬科大学, 薬学部, 准教授 (70402948)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 中道左派政党 / 福祉国家 / 労働組合 / 右翼ポピュリスト政党 |
Outline of Annual Research Achievements |
中道左派政党の趨勢は各国の文脈に依拠している。本研究では、それぞれの国の個別の文脈を重視し、それぞれの研究者が分析を進めてきた。 近年のスウェーデンでは右翼ポピュリスト政党の台頭が著しく、伝統的な優位政党である社会民主党の支持基盤をも浸食しつつある。特に「欧州難民危機」を経た2018年選挙以降、中道右派諸党が右翼ポピュリストとの交渉に応じるようになり、その「主流化」が進むなか、社会民主党も、難民受け入れの厳格化や犯罪対策の強化を含め、政策転換を迫られることとなった。その過程を、主に同党の政策文書の記述をたどることによって明らかにしている。 ドイツでも、右翼ポピュリスト政党の台頭が見られる。労働者票の一部は同党に流れており、社会民主党の地盤沈下の一因となった。近刊の論文では、長期的な傾向として中道化が進んだ結果、中道右派との差異が見えなくなった点も指摘している。ただし、スウェーデンのように難民受け入れ厳格化などを受容したわけではなく、むしろ緑の党への接近(気候保護への傾斜)が観察される。 韓国においては、二大政党の一つである民主党の政策志向が左傾化されるようになり、中道左派政党である正義党の存在感が小さくなっている。この過程で社会運動が民主党の変化に大きく影響を与えていた。本研究は、民主化後の社会運動と民主党の相互作用とそれが韓国政治に与えた影響を明らかにした。 日本については、中道左派政党に類似する政党として公明党を中心に分析した。安倍内閣期以降の農業や医療分野における規制改革の動向に関して政府・与党の動向、また規制改革会議での議論の推移を分析した。この際、与党の一部である公明党の動向に注意しながら分析を行ったところ、公明党が基本的には政策的フォロワーとして行動していたことが確認された。期間中にはその成果の一部として、規制改革会議における農政議論の推移をまとめて発表した。
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