2022 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of "contradictions on the effects of economic interdependence on conflict deterrence" using big data
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20K01501
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
関山 健 京都大学, 総合生存学館, 准教授 (90583576)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 経済相互依存 / ODA / FDI / 人道支援 / 人権保護 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、定量的なデータ分析および定性的な質的調査によって国際社会の経済相互依存関係を様々な観点から分析しようとするものであり、第3年度である令和4年度には、以下のような形で研究を進めた。 (1)ODAのFDI促進効果 経済相互依存が国際関係に与える影響の例として、政府開発援助(ODA)が援助国から被援助国への海外直接投資(FDI)を促進するのかどうか、定量的に検証を行った。ODAのFDI誘引効果の有無については未だ見解が分かれおり、特に有償金協力、無償資金協力、技術協力といった援助形態の違いによってODAが直接投資を促進する効果に違いがあるかどうかは明らかでない。そこで本研究では、1985年から2013年の被援助国52カ国を対象とし、ODAとFDIの間の因果推計を行った。このサブテーマについて、令和4年度に実施した調査・分析の成果は、まず中間的な成果として2編の論文にまとめ、うち1編は既に国際学術誌で発表済みであり、もう1編は令和5年3月31日現在査読中である。 (2)人道支援機関による人権保護の成否 経済相互依存が国際関係に与える影響の別の例として、本年度は、人道支援機関による各国への人権保護働きかけの成功条件を定量、定性の両面から分析した。定量分析では、国際赤十字(ICRC)の被拘禁者訪問の成功要因を、支配勢力の特徴と人道支援機関の戦略という二つの側面からロジット回帰分析で検討した。また、定性分析では、シリア北西部で活動する支援機関職員に対する聞き取り調査によって、人道支援機関による支配勢力への働きかけの実態を明らかにした。このサブテーマについて、令和4年度に実施した調査・分析の成果は、まず中間的な成果として2編の論文にまとめ、うち1編は既に国際学術誌で発表済みであり、もう1編は令和5年3月31日現在査読中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画において、第3年度である令和4年度には、中間成果の論文をまとめて国際学術誌へ投稿する予定としていた。この点、上述『研究実績の概要』のとおり、ODAのFDI促進効果および人道支援機関による人権保護の成否という二つのサブテーマそれぞれについて計2本ずつ論文を執筆、うち2本が既に国際学術誌で発表済み、残る2本も2023年3月31日現在で採択間近の査読中であることから、順調に成果を挙げている。
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Strategy for Future Research Activity |
【今年度】第4年度となる令和5年度は、経済相互依存が国際関係に与える影響について更に調査・分析を深める。なお、当初計画では、令和5年度内に海外での現地調査を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の状況を見つつ、必要に応じて計画修正を行う。また、本研究に関連して、スウェーデンの外交シンクタンクISDPと、日欧印間の経済相互依存関係と経済安全保障に関する共同研究を立ち上げ、オンライン研究会および公開ウェビナーを開催することを予定している。 【次年度以降】 最終年度となる令和6年度は、経済相互依存が国際関係に与える影響の分析結果を進め、その成果を、学会誌・国際査読誌への論文投稿、新聞・一般雑誌等での論考寄稿、ワークショップの開催などを通じて発表する。
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Causes of Carryover |
当初の計画では、大規模データ分析に必要な能力を備えたパソコン1台とデータ解析アプリケーションを今年度購入する予定であったが、今年度に行った分析は既有の旧型パソコンの機能で完了することができた。今後分析に用いるデータ量が増加し、パソコンの能力不足が顕著なった時点で最新版を購入する。また、データ分析作業の効率化のためリサーチ・アシスタントを雇用する予定であったが、今年度は研究代表者単独で作業を完了することができた。その繰越分は、国際査読誌等への論文投稿にかかる英文校正に係る費用として活用する予定である。加えて今年度は、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行に伴い、参加を予定した国内外の学会や会議が中止またはオンライン開催となった。その繰り越し分は今年度以降の学会参加や国内外調査に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)