2020 Fiscal Year Research-status Report
The Emerging Power of Japan in the Trade Regime: from a Rule-Follower to a Rule-Maker
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20K01506
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
柴田 茂紀 大分大学, 経済学部, 准教授 (60411063)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山川 俊和 大阪産業大学, 経済学部, 准教授 (70572395)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 国際貿易体制 / レジーム / ルール形成 / 日本の経験 / GATT/WTO / 国際経済秩序 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の核心をなす学術的「問い」は、「経済大国」化した日本が、国際貿易体制のなかでいかに影響力を高め、その影響力を行使したのか、というものである。経済発展を実現しても、国際影響力は自動的に強化されない。そこで、日本は国際貿易体制の中で影響力を強めることができたのか、できたとしたらその要因はどのようなものなのか、どのように影響力を行使してきたのかなど、学術的な疑問に取り組もうとするのが本研究である。 研究手法としては、公的な一次資料分析、統計資料分析、先行研究が提示してきた分析枠組を活用し、それらを効果的に組み合そうとしている。一次資料分析を通じて現実の政策立案者の視点と、経済統計分析を通じて貿易を中心とした世界経済の実態を明らかにするものである。 貿易面の影響力は、各国間の政治経済関係が反映されるため、明確な数値化が困難であり、これまで検証が不十分であった。そこで本研究では、貿易・経済統計と一次資料の分析を組み合わす分析手法を導入し、数値化しにくい貿易面の影響力を検証する。 初年度である本年度は、新型コロナ感染症の影響で出張が困難であり、一次資料の収集が進まなかった一方で、先行研究調査を進めることで、本研究課題に関して多様な分析視角があることが明らかになった。しかし、先行研究が多くの専門用語や分析視角を提起してきた一方で、定義が不明確な用語もいくつか見受けられるため、現在、論文という形で体系的に整理しているところである。この研究成果は、第2年目である2021年度に印刷される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ感染症の影響で、一次資料調査(調査出張)が一切できなかった一方、資料調査の代わりに先行研究や分析枠組の整理を進めることができたため、「やや遅れている」と判断した。研究グループ内でのオンライン会議を重ね、収集した各種資料や研究成果の共有は進んだ。 本研究はグループで進めているため、研究成果の共有は不可欠な作業である。そこで先行研究の成果を検証しながら、本研究課題に関する分析視角や専門用語を体系化し、論文という形で整理しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の成果である先行研究や分析枠組の整理を土台として、第二年目以降は以下のように研究を進めていく。 ①一次資料の閲覧・入手に基づく分析、統計に基づく分析を組み合せる。調査出張が可能になった段階で、国内(外務省外交史料館、国立国会図書館)と国外(アメリカのNational Archives及びIMF Archives、英国のNational ArchivesとフランスのOECD Archives、スイスのWTO Library)で調査を実施し、関連資料の収集を進める。 ②入手資料を活用する。上記①を通じて入手した資料を利用しながら、日本がルール追随国から形成国に変化した経緯や、ルール形成国としての日本の影響力を事例と統計から明らかにする。 ③研究成果の検証・調整・統合をしていく。オンライン(ZOOMなど)を通じて打ち合わせを繰り返し、それぞれの研究成果の検証・接合を図る。
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Causes of Carryover |
[理由]初年度は新型コロナ感染症の影響で旅費を使用しなかったため、繰り越しがある。 [計画]応募申請書に書いた通り、国内外の公的機関での資料調査や研究発表を予定しているため、移動制約の状況次第で国内外の出張を再開していく。本年度は国外移動の可能性が不透明なため、国内移動(国内の資料調査・研究発表など)を計画しているが、状況次第では所属機関の指示などもあるため控える可能性もある。
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[Book] 地球経済入門2021
Author(s)
山川 俊和、妹尾 裕彦(ほか)
Total Pages
228
Publisher
法律文化社
ISBN
4589041235