2023 Fiscal Year Research-status Report
The Emerging Power of Japan in the Trade Regime: from a Rule-Follower to a Rule-Maker
Project/Area Number |
20K01506
|
Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
柴田 茂紀 大分大学, 経済学部, 准教授 (60411063)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山川 俊和 桃山学院大学, 経済学部, 教授 (70572395)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 国際貿易体制 / ルール形成 / 国際経済秩序 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の核心をなす学術的「問い」は、「経済大国」化した日本が、国際貿易体制のなかでいかに影響力を高め、その影響力を行使したのか、というものである。経済発展を実現しても、国際影響力は自動的に強化されない。そこで、日本は国際貿易体制の中で影響力を強めることができたのか、できたとしたらその要因はどのようなものなのか、どのように影響力を行使してきたのかなど、学術的な疑問に取り組もうとするのが本研究である。 研究手法としては、公的な一次資料分析、統計資料分析、先行研究が提示してきた分析枠組を活用し、それらを効果的に組み合そうとしている。一次資料分析を通じて現実の政策立案者の視点と、経済統計分析を通じて貿易を中心とした世界経済の実態を明らかにするものである。 貿易面の影響力は、各国間の政治経済関係が反映されるため、明確な数値化が困難であり、これまで検証が不十分であった。そこで本研究では、貿易・経済統計と一次資料の分析を組み合わす分析手法を導入し、数値化しにくい貿易面の影響力を検証する。 2023年に学会誌(『国際政治』)に掲載された論文は、他の科学研究費補助金の研究グループからも解説依頼があるなどの反応もあり、その研究会における質疑応答を通じて新たな知見を得られた。その成果は、今後の研究にも反映できる。 本研究は期間を延長したため、次年度が最終年度になる。新型コロナ感染症の影響のあった初年度・二年度までとは異なり、今年度は外務省外交史料館などにおける一次資料の収集も進んだ。また、先行研究調査や有用な分析枠組の整理を継続し、成果の一部を論文という形で発表した(2023年)。また、2024年度中にも出版予定の研究業績がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ感染症の影響で、当初予定していた4年間のうち、前半の2年間は一次資料調査(調査出張)が進まなかった。一方、第3年度は研究成果の一部が学会誌(『国際政治』)に掲載され、一定の進捗はみられたものの、第4年度にあたる今年度は、入手した資料の分析やその活用が進んでいないため、「やや遅れている」と判断した。 ただし、研究グループ内でのオンライン会議を重ね、収集した各種資料や研究成果の共有は進んだ。また、学会誌(『国際政治』)に掲載された論文は、別の科学研究費補助金の研究グループからの解説依頼があるなど、研究成果への評価もあった。さらに9月には、中国(南京大学)における国際学会で招待講演を実施し、研究成果を広め、各国の研究者との議論を通じて発展させる機会があった。 なお、本研究はグループで進めているため、研究成果の共有は不可欠な作業である。また、共同研究を発表する用意を進めている。それぞれの成果を接合・融合し、体系化しながら本研究課題を進める予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度を通じて、本研究のまとめを進めるにあたり、これまでの作業を進めてきた先行研究の整理や分析枠組の整理を土台にしながら、以下のように研究を進めていく。 ①一次資料の閲覧・入手に基づく分析、統計に基づく分析を組み合せる。国内(外務省外交史料館、国立国会図書館)と国外(英国のNational Archives)で調査を考えている。 ②入手資料を活用する。上記①を通じて入手した資料を利用しながら、日本がルール追随国から形成国に変化した経緯や、ルール形成国としての日本の影響力を事例と統計から明らかにする。 ③研究成果の検証・調整・統合を進め、成果発表の機会を増やす。そのためにもオンライン(ZOOMなど)を通じて打ち合わせを繰り返し、それぞれの研究成果の検証・接合を図る。 ④学会報告や論文を通じて、研究成果の公開を目指す。特に、国際学会(ISA)での共同発表を実施し、各国の研究者との質疑応答を通じて研究内容のさらなる発展を目指すような推進方策を予定している。
|
Causes of Carryover |
本研究の初年度・第二年度が新型コロナウイルス感染症で調査出張が困難であり、旅費を中心として予算が余剰した。次年度は最終年として、調査および研究報告のための出張旅費、そして物品の購入などに充当するように計画している。
|