2022 Fiscal Year Research-status Report
ハプスブルク帝国存続派から見たウィルソンの「14ヶ条」
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20K01509
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Research Institution | Fukuoka Women's University |
Principal Investigator |
馬場 優 福岡女子大学, 国際文理学部, 教授 (40449533)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ハプスブルク / ポポヴィチ / 連邦制 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、現地での調査を後述する理由から行うことができず、これまでの文献研究を応用する形で、前年度の途中からおこなったハプスブルク帝国における国家再編計画を連邦制の観点から分析した。具体的には、20世紀初頭に刊行されたアウレル・ポポヴィッチ(Aurel Popovici)の『大オーストリア合衆国(Die Vereinigten Staaten von Gross-Oesterreich)』における連邦制を使った国家再編がどのようなものであったかを検討した。彼のプランは、サラエボ事件で暗殺されたフランツ・フェルディナントの側近たちに大きな影響を与えた。そして、その側近たちは1916年に即位したカール1世の側近として帝国再編プラン作りにも関与していたことを考えると、ポポヴィッチのプランを検討することは第一次世界大戦末期の帝国再編案を別の側面から捉えることにつながると思われる。 本年度は、彼のプランをめぐり、ハプスブルク帝国史研究の中でどのように扱われてきたかを特におこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は、5月に家族の介護をおこなう必要が生じ、今年度末までこの状態が継続した。また、家族の介護のために研究者自身も秋以降体調を壊したため、十分な研究時間を確保することできなかった。年度当初予定していた夏期の現地での史料調査も以上の理由から、実施することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は本年度で終了する予定であったが、新型コロナウィルス感染症の問題と家族の介護及び本人の体調不良のため、研究期間の延長をおこなわざるを得なかった。家族の介護は2023年度もおこなわざるを得ない状況が予想される。限られた時間内で、ポポヴィッチの連邦制についてまずはまとめることを目指していく。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の完全な終息が見通せないことと、家族の介護の必要性が生じたこと、また介護が原因と思われる研究者自身の体調不良から、国外での史料調査をまったくおこなうことができなかったため、当初計上していた旅費を使うことができなかった。研究期間を1年延長し、次年度に史料調査のための旅費を使用したい。
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