2021 Fiscal Year Research-status Report
国際開発規範と途上国政治との摩擦に対する国連開発計画(UNDP)の調整役割
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20K01512
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
真嶋 麻子 日本大学, 国際関係学部, 助教 (60598548)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 途上国開発 / 国連開発計画(UNDP) / 現地化政策 / ラテンアメリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、途上国開発をめぐる対立における国際機関の調整役割について、とりわけ国際開発規範と発展途上国の国内政治との摩擦への国連開発計画(UNDP)による対応を検討することを目的としている。特に、調整役割を把握する手がかりとして、UNDPが途上国開発業務を現地化している現象に着目している。 本年度の成果の第一は、現地化政策の運用実態を理解するために、発展途上国とりわけラテンアメリカ諸国における現地化政策の運用のデータを精査した。ラテンアメリカ地域では他地域と比べて群を抜いて開発業務の現地化が進んでいる地域である。なぜラテンアメリカ地域で開発業務の現地化が進んだのかを、軍事政権から文民政権への移行および国内紛争からの平和構築といった重要な政治動向との関連で追跡した。 第二に、現地化政策の運用実態を、アルゼンチン、チリ、グァテマラの事例から理解することを試みた。UNDPの発行する国別計画書のほか、関連するプロジェクトドキュメントや、周辺領域の研究を含めて精査し、UNDPの現地化政策の運用への評価を行った。そこからは、開発業務の現地化という方法を通じて、UNDPがラテンアメリカ諸国の国内政治と接点を持ちながら、UNDPの政策理念の貫徹に格闘する様子が観察された。 そして第三に、持続可能な開発目標(SDGs)の開発規範としての特色を指摘する研究や、COVID-19の影響が拡大する世界における途上国のガバナンスと構造的暴力の関係についての研究も進めた。これは、本研究課題の現代的意義を抽出するための予備的作業であり、国際規範が現地化される際の条件を探求することへとつながるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた2021年度の研究計画では、軍政期(1973~90年)にUNDP常駐代表とチリ外務省との間で交わされた文書を、チリ・サンティアゴの外交文書館および外務省図書館において収集する予定であったが、新型コロナウィルス感染拡大の影響で、海外の研究出張の機会が制約され、この予定を遂行することができなかった。 他方で、インターネットで入手可能な資料収集とデータの分析については一定程度、進めることができた。本研究の課題である1970年代から80年代にかけてのチリとアルゼンチンにおける実践を例とした、UNDPが途上国開発業務を現地化することの運用過程については、入手済の資料を用いて分析を進め、基本的に完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度についても引き続き、国内外での出張が制約される可能性が高く、資料収集も当初の予定通りにはいかないことが予想される。したがって、すでに入手しているUNDP常駐代表とアルゼンチン外務省(軍政期1976~83年)との間で交わされた覚書や手紙について分析を進める。 また、UNDPの現地化政策について、その成立と運用のプロセスに関する分析がひととおりまとまったので、これを研究成果として発表できるよう準備を進める。
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Causes of Carryover |
2020年度は新型コロナウィルス感染拡大の影響で、予定していた国内外の出張に制約があり、また、国内の学会および研究会がオンライン開催されることも増えたため、旅費にかかる支出がなされなかった。新たな資料収集の機会が減った分、入手済みの資料やインターネットで入手可能な資料の分析を中心に進めたため、資料整理のための備品の購入をしたが、資料購入そのものへの支出もなされなかった。 したがって、本年度に使用しなかった助成金は次年度に使用するものとする。ただし国内外への出張にかかる旅費の使用は、社会情勢が許す範囲になることが予想される。また、学会ならびに研究会への出席がオンライン化するなかで、オンライン会議に対応するための備品購入や、オンライン書籍といった形での研究費の使用を予定している。
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Research Products
(3 results)