2020 Fiscal Year Research-status Report
中国のアジア主義に関する史的考察ーー「連続性」と「断続性」を中心に
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20K01514
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
黄 斌 早稲田大学, 地域・地域間研究機構, 次席研究員(研究院講師) (50755775)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アジア主義 / ナショナリズム / リージョナリズム / 連続性 / 断続性 / 一帯一路 / 和解 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本のアジア主義との比較や相互影響を勘案しつつ、近代中国知識人たちが「アジア主義」をどのように語っていたか、彼らの「アジア主義」は今日にどのように投影しているか、今後の新たな世界秩序への模索にどのような示唆を与えるかを考察するものである。 令和2年は、本研究の最初年度であり、主に資料の収集・整理・解読の作業を行った。具体的には、日本のアジア主義の最新動向をいち早く中国に紹介し、アジア主義に関する議論を起こした当時の新聞・雑誌などについて調査を行い、李大釗を中心に当時中国の代表的な知識人たちによるアジア主義の受容、およびその後の独自な展開の過程を考察し、彼らの内面におけるアジア主義、ナショナリズムおよびマルクス主義の葛藤を分析した。そうした考察を踏まえ、「李大釗のアジア主義と日中知識人ネットワーク―清末民初日中間の知の交流と和解に対する一考察」と題し、令和3年度出版予定の『和解のための新たな歴史学――方法と構想』に寄稿した。 そして、戦後中国の対日認識の重要な一環である靖国参拝問題について、中国の主要な政府系マスメディアの一つである、「人民日報」に掲載された関連報道を抽出し、同問題に対する中国政府の認識の変化を考察した。2021年3月にZoomにより開催された国際シンポジウム「The Development of Reconciliation Studies in East Asia」で、「Multifaceted Chinese Government Affiliated Mass Media: Focusing on Changes in The People‘s Daily Coverage of The Japanese Prime Minister’s Visit to Yasukuni Shrine」と題し報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度の研究調査について、日本国内の資料の収集・整理作業は概ねスムーズに行われてきた。そうした資料を踏まえ、李大釗を中心に当時中国のアジア主義の主要論者たちが日本よりアジア主義を受容し、ナショナリズムやマルクス主義と絡めながら、中国なりの独自なアジア主義を展開した過程を考察し、「李大釗のアジア主義と日中知識人ネットワーク―清末民初日中間の知の交流と和解に対する一考察」と題し、令和3年度出版予定の『和解のための新たな歴史学――方法と構想』に寄稿した。 一方、海外での資料収集はやや遅れている。資料調査のため中国に出張する計画であったが、コロナ感染拡大が原因で実行できなかった。また、予定された韓国・台湾での研究交流活動も、同様の原因で参加できなかった。そうした中、デジタル・データベースの活用やオンライン会議など代替の方法により、研究活動を進めてきた。その研究成果として、戦後中国の対日認識の重要な一環である靖国参拝問題について、中国の主要な政府系マスメディアの一つである、「人民日報」に掲載された関連報道を抽出し、同問題に対する中国政府の認識の変化を考察した。2021年3月にZoomにより開催された国際シンポジウム「The Development of Reconciliation Studies in East Asia」で、「Multifaceted Chinese Government Affiliated Mass Media: Focusing on Changes in The People‘s Daily Coverage of The Japanese Prime Minister’s Visit to Yasukuni Shrine」と題し報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、資料の収集・整理を進め、日中戦争を背景に、日本のアジア主義は和平工作・宣撫工作の一環として形骸化されたなか、アジア主義をめぐる日中両国の知識人のミスマッチが広がっていた過程を考察し、「ナショナル」および「イデオロギー」的なアジア主義の限界を解明する予定である。 コロナ感染再拡大が沈静化したら、昨年度実施できなかった中国資料の調査や、海外での研究交流活動を早急に再開する。それまでには、各種のデジタル・データーベースを活用しながら、日本の資料を中心に研究を進める。また、日本・中国の資料の補足として、英文資料の調査にも着手し、当時の欧米諸国の政府関係者や、知識人たちが中国のアジア主義についてどのように認識していたかを考察する。
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Causes of Carryover |
令和2年度は、コロナ感染拡大のため、中国への資料調査や、韓国・台湾での研究交流活動などの研究計画は実行できなかった。 令和3年度では、コロナ感染再拡大が沈静化したら、昨年度実施できなかった海外での資料調査や、研究交流活動を早急に再開する予定である。それまでに、代替の方法として、各種のデジタル・データベースを活用し、オンライン会議などを通じて研究交流活動を進める。そのため、関連する設備の一部は新規購入する必要がある。また、日本・中国の資料の補足として、英文資料の調査にも力を入れる。資料の収集・整理・翻訳のため、研究補助者を雇用し、人件費や謝金を支出することにする。
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