2020 Fiscal Year Research-status Report
Is it possible to make the energy resources distribution as an International Public Goods? In the case of Central Asian Power Grid.
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20K01519
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
稲垣 文昭 秋田大学, 国際資源学研究科, 講師 (80468545)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | エネルギーガバナンス / 国際公共財 / 中央アジア / エネルギー貧困 / 地政学 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、予定していたタジキスタンでの調査がCOVID-19により実施不可能となったため文献調査主体の研究調査を実施した。 具体的には、(1)本研究課題の中心的概念でもある「国際公共財」、(2)中央アジアを巡る国際関係、(3)エネルギー政策、とくにエネルギー貧困問題についての先行研究の整理を中心とした研究を実施した。また、従来の研究を整理し日本の対中央アジア政策の視点から中央アジア地域への域外からのアクセスに課題が残ることを明らかにした。 前者については、本研究課題のように国家横断的なエネルギー資源分配を国際公共財と捉える研究は少ない。だが、中央アジアの主要エネルギー資源の一つである水資源を巡る統合的水資源管理(Integrated Water Resource Management:IWRM)の枠組みは「地域公共財」と捉えることができることから、そのIWRMの概念を電力管理に援用する可能性について調査を進めてた。他方で、一帯一路構想を掲げる中国は、グリーンファイナンスの枠組みを含めて中央アジア諸国のエネルギー分野に浸透しつつある。中央アジアにおける再生可能エネルギー市場は、まだ萌芽状態と言えるものであるが、世界的な再生可能エネルギー移行の流れから、この中国の取組は中央アジアのエネルギー分野における同国の影響力を長期的に強化するとモノと考えられる。このことは技術と資金双方において再生可能エネルギー支援のあり方が中央アジアを取り巻く国際社会、大国の課題となっていること、中央アジアのエネルギーガバナンスを考察する上で再生可能エネルギーが重要な課題となることを示している。これらの研究の成果は、令和3年以降にまとめる計画である。 後者については、Understanding Japanese Soft Power Policy and Its Feature in Central Asia, in Central Asia and the Caucasus 22.(1)にまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19により現地調査が実施不可能になったことで、文研調査主体の研究へと変更せざるを得なくなった。これにより、研究活動がやや遅れることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、令和2年度に引き続き現地調査の実施が難しいという前提に立ち、文献調査を中心に進める。令和2年度は先行研究についての整理が中心となったが、令和3年度は本研究課題の主要概念である国際公共財についての理論的な整理に焦点を当てるとともに、中央アジアの関係機関にオンラインでのインタビューを実施しる。 1年目となる本年度はCOVID-19の影響により現地調査が実施できなくなるとともに、研究協力者との打ち合わせも限定的にならざるを得なくなった。2年目となる次年度も同様に移動の制限の影響を考え、オンラインでのインタビューや資料収集を中心に活動を行うとともに、文献調査結果のデータベース化も進める。ただし、状況に応じて現地調査を行えるように、次年度後半から令和4年度に実施することを前提に計画をつくる。 また次年度は、これまでの研究内容をで共同研究者とともに国際学会「第12回アジア国際会議」(8月24日―27日)で報告を行うなど、インプットよりアウトプットを重視する研究活動を行う。 3年目となる令和4年度は、COVID19の状況が落ち着くことを前提に,1年目と2年目で不十分であった現地調査を実施する。2年目までのレビュー研究で明らかにした課題について関係機関にインタビューを行うとともに、4年目となる2023年度は、研究成果を纏め学会報告を行い論文投稿を行う。
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Causes of Carryover |
海外出張及び国内出張旅費として旅費を計上していたが、 COVID-19の影響で国内外の移動が制限されたことにより旅費の支出ができなくなった。当該年度で利用できなかった出張旅費について、移動の制限が緩和された際に次年度の調査出張旅費として充てることとする。 また、オンラインを含めた国際学会などへの参加に伴う、学会参加費や調査結果のデータベース化に充当する計画である。
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Research Products
(1 results)