2022 Fiscal Year Research-status Report
アメリカ外交における国際的信教の自由の政策形成と展開
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20K01523
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
佐藤 真千子 静岡県立大学, 国際関係学部, 准教授 (40315859)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アメリカ / 国際的信教の自由 / 国際的信教自由委員会 / 国際的信教の自由サミット / IRFA / USCIRF |
Outline of Annual Research Achievements |
トランプ政権が始めた国際的信教の自由閣僚会議はバイデン政権になると米主導型ではなく主催国が欧州へ移り、アメリカは民主国家の結束を示して権威主義国との対抗姿勢を強調する民主主義サミットを打ち出した。この変化により、国際的信教の自由のためのアメリカの取り組みが停滞するか、そうはならないとしてもそのような印象を世界へ与える影響を憂慮したサム・ブラウンバック前国際宗教大使らは、新政権発足とともに民間主導による国際的信教の自由サミットの開催を計画し、2021年夏に同サミットを行い、継続している(2023年1月に第3回開催)。2022年度の本研究では同サミットとその関係者が中心となって展開する国際的信教自由ラウンドテーブルの参与的観察を継続し、本研究の目的である政策過程の各アクター(各会合に参加している宗教系団体やNGO、国際宗教自由委員会、トム・ラントス人権委員会、調査報道ジャーナリストら)への聞き取り調査を実施した。現在、世界の約8割の人々がなんらかの宗教的迫害を課す社会や国家で暮らし、その傾向の悪化は米国内外の人権報告書や米国際的宗教自由委員会の報告書でも明らかにされ、諸地域における緊張・対立の悪化と長期化が懸念される。国際的信教の自由サミットとラウンドデーブルに共通する認識として、宗教マイノリティ及び宗教的犠牲者はある居住空間(国家や社会)では弱者及び被害者である一方、別の国及びコミュニティーにおいては迫害行為側の多数として存在しており、時と場所が変われば思想信条を問わず誰もが宗教マイノリティであるとの基本的考え方がある。宗教弾圧する国家や社会に対してとるべき対策として、彼らが強調する手法は「マイノリティ」が国境や社会を超えて協働する関係の構築である。この点について、米国内外の宗教系団体や活動家、NGO、米連邦議会や米政府との相互連携の実態と課題について、今後さらに解明する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は前年よりも大学や学会で担当する業務量が増えたため研究時間の確保が、いままで以上に、1年を通して日常的な課題となってしまったが、ナショナル・プレスクラブ(ワシントンDC)で開催された国際的信教自由の国際フォーラムに登壇する機会を得て、宗教迫害や宗教対立の問題改善に取り組む実業界のアクターに注目した研究成果の一部を発表することができた。専門家や制作担当の当事者らと宗教弾圧と安全保障の問題や対応策について協議を行い、今後の研究に有益なネットワークを築くこともできたことは非常に有意義であった。 また、宗教弾圧はコロナ禍の威主義体制下でさらに深刻化したが、コロナ時代のソフトパワーについて各国を比較検証する研究プロジェクトで研究論文を海外の研究者と共同執筆した。当初は2022年度中の出版が予定されていたが、プロジェクト自体がコロナ感染の影響を受けて遅延が生じていたことに加え、プロジェクトメンバーがトルコ・シリア大地震の影響を受けたため出版がさらに遅れている状態である。したがって成果発表に至っていないものがあるものの、研究課題の検証はおおむね順調に進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、国家による国際的信教の自由閣僚会議(トラック1)、国際的信教の自由サミット(トラック2またはトラック1.5)、国際的信教の自由ラウンドテーブル(トラック2またはトラック1.5)及びそれらの下位ネットワークで影響力をもついくつかのワーキンググループの提言や活動について実証研究と考察を行う。2023年度中に、国際会合での研究成果を発表する機会とワーキンググループのファシリテータ参加が決まっており、そのような場での各国の研究者、専門家、活動の当事者との意見交換やネットワーク作りも重視して取り組みたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大の影響で2020年に予定していた海外調査を実施できなかったための未使用額を繰越したが、その影響がその後も残っているためである。2023年度も海外で開催される国際会議での成果発表や国際イベントでの調査において使用する計画を立てており、一部はコロナ後に高額化した旅費に充当する予定である。
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Research Products
(2 results)