2022 Fiscal Year Research-status Report
EU越境協力枠組みEGTCの研究:ハンガリーをめぐる重層的地域の権力関係
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20K01532
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
柑本 英雄 日本大学, 法学部, 教授 (00308230)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | EGTC / EU / 領域的結束 / スケール間の政治 / クロススケールリージョナルガバナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画初年度から続くCOVID-19の影響に加え、ロシアのウクライナへの軍事侵攻による国際社会情勢を考慮して海外渡航がかなわず、3年度目となる今年度もハンガリー国境地域での現地調査が実施できなかった。 本研究は、欧州連合(EU)が領域的結束を高めるため設立した、特殊な国際法人格を持つ「欧州における領域的協力団体(EGTC)」が、ハンガリーの国境地帯で「旧東欧へのEU統合の拡大」を担う国境相対化のツールとして使われていることを明らかにし、国境を巡る複雑な「スケール間の政治」を可視化することを目的とする。主な研究手法としている現地調査と言説分析が実施できないことから、EGTCを法的、理論的に理解し、EUや国家、地方自治体などの政策的意図を検証するために、EuroregionやEU地域政策、分析枠組みとしての政治地理学関連などの文献や資料の収集と読み込み、EUや関係機関のウェブサイトから最新情報を把握し、国境沿いの越境地域ミクロリージョンでの国際的アクター間の権力関係検証を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は、ハンガリーおよび欧州での現地調査と言説分析を主な手法とするが、COVID-19およびロシアによるウクライナ侵攻の影響で海外渡航がかなわない状況が続いており、研究計画全体の進捗状況としてはだいぶ遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19による海外渡航禁止はようやく解かれたが、ウクライナ問題に起因する欧州・国際情勢の不安定な状況は収束の兆候が見られず、現地に渡航しての調査は今後もきわめて困難であると言わざるを得ない。したがって、今後も情勢を見ながら、引き続き理論的補強のための文献や資料、ウェブサイトからのEU最新情報のキャッチアップによる分析に加え、オンラインでのセミナーやコンフェレンスの参加、関係者へのリモートインタビューなどの代替策を講じながら、本研究の仮説の立証作業を進めていく。 ただし、今後、もし情勢が許せば、ハンガリーに入り、EGTCとEuroregionの根本的な違い、国境を越えた地域間協力(CBCあるいはCBR)としての出自の違い、EUと欧州評議会(CoE)それぞれが持つ「国境の相対化」の意味の違いについて、政策シンクタンクCESCIの専門家やEU機関関係者らと協議を行い、EUや国家、地方自治体の政策的意図を検証し、本研究の仮説立証を進めたい。
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Causes of Carryover |
当初計画していた海外調査出張が実施できなかったため、次年度使用額が生じた。このあとも、ウクライナと国境を接するハンガリーに渡航しての現地調査が困難な状況は続くと予想されることから、次年度も基本的に文献・資料の読み込みと分析により仮説立証を進め、研究成果を論文にまとめる。それらに係る費用や、コンフェレンス等のオンライン参加費として、未使用額を使用する。また、ハンガリーや欧州での現地調査が可能な状況となった場合には、渡航旅費として使用する可能性もある。
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