2022 Fiscal Year Research-status Report
Peacebuilding through criminal justice: a new challenge on governance
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20K01539
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
望月 康恵 関西学院大学, 法学部, 教授 (10316151)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 平和構築 / 国際刑事裁判所 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、国際的な刑事裁判所における刑事司法機能の意義について引き続き検討を行った。2022年2月に生じたロシアによるウクライナ侵攻を受けて、国際刑事裁判所(ICC)の検察官による取り組みについて事実関係を確認した。検察による、ウクライナおよび関係国における証拠の収集、それをより迅速に進めるための関係国および関連国際機構との連携の構築などは、今後の国際的な刑事裁判の実施に向けた取組みとなっている。 ICCは、その訴追と処罰の機能が、平和とガバナンスに資するものであるとの立場である。そこで、ウクライナへの侵略に伴う刑事司法機関の取り組みについて、平和構築機能と捉える可能性についての検討が必要になる。今年度の予備的な検討からは、以下の点が確認された。まずウクライナ領域内で生じた国際人道法違反の調査は、将来の訴追に備える作業である。この取り組みは、侵略から生じる国際犯罪について、不処罰を阻止するものであり、この理解が国際社会に共有されまた実施されようとしていることが評価される。その一方で、ウクライナの状況を重点化するICCの方策は、他の地域における事態の捜査に否定的な影響を及ぼしうるものである。さらに、ICCによる訴追と処罰と、ICCの補完性の原則との関係性が今後は具体的な課題となるだろう。ウクライナの状況はくわえて、多数の被害者に対する賠償などを、はたしてまた誰がどのように行うのか、という問題をも提示する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の影響を受け、現地調査や聴き取りを実施することがかなわなかったことが要因として挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍を経て、平和「構築」の現代的な意義と学説上の意義について、改めて検討することが求められる。また国際的な刑事裁判所は、設立根拠、管轄権など多様であること、さらには、個別の判例に加えて、その機能の終了と残余機能の国内機関への移管、被害者への措置などから確認されうる社会的な意義についても精緻に分析することが必要になるだろう。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により、予定していた海外の関係機関における資料収集、専門家との意見交換等が実施できなかったことが理由である。2023年度においては海外での調査等の実施可能性を検討する。
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