2020 Fiscal Year Research-status Report
Burden-sharing and self-enforcing international agreements on international public goods provisions
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20K01548
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
太田 勝憲 和歌山大学, 経済学部, 准教授 (60403218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大堀 秀一 関西大学, 総合情報学部, 教授 (70378959)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 国際協定 / 環境 / 難民 / 繰り返しゲーム |
Outline of Annual Research Achievements |
第三者である権威が存在しない状況でも執行できるself-enforcingな国際協定のデザインについて、初年度は以下にある研究を行なった。 (1)繰り返しゲームを用いた国際環境協定の研究については、非対称な2国モデルで、最も広範囲な割引因子の範囲で目標とする総排出量を達成する各国の排出量の割り当てを求め、その特徴付けを行なった。結果としては、協定遵守のインセンティブの観点で、非対称な2国を平等に扱う排出量の割り当てが、上記の最も広範囲な割引因子の範囲での協調をもたらすことを示した。さらに、排出のコストに対する相対的な便益が非対称な場合、最適な排出割り当ての下で、どちらの国がより多く排出削減を行うべきかという負担の分け方について考察した。また、比較静学として、目標とする総排出量の変化と協定遵守のインセンティブの関係、環境協定の事前に行われる環境投資と最適な排出割り当ての関係についても分析をした。 (2)難民の割り当てに関する国際協定の研究については、難民の受け入れの問題を正の外部性を伴う国際公共財供給問題としてモデル化した。人道主義の国民から成る国家であれば、移民難民がどこかの国に保護されることを望む。一方で、自国による難民の保護は費用を伴う。このとき、難民の保護施設は国際公共財の性質を持つ。この研究についても、2国の間で一定数の難民保護をどのように割り当てるかについて繰り返しゲームを用いて分析を行なった。環境協定の研究との違いは、交渉問題を組み込んだ点である。妥結されるまで交互にオファーを出し合う交渉ゲームを使って、どのような難民の割り当てが実現するかを考察している。この研究については、交渉の分析の仕上げを行なっている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
環境協定に関する研究については、国際学会で報告し、学術雑誌に投稿するところまで完成している一方、難民保護に関する国際協定の研究は、まだ完成できていない。これは、コロナ禍で共同研究者のところに行くことができなかったこと、遠隔授業の準備等で忙殺されたことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
環境協定の研究については、現在の研究を期間内に雑誌掲載まで持っていくことを目標に改訂を行う。また、今年度の研究では扱っていない、総排出量とその割り当てを通じた厚生最大化問題を考えた最適な排出割り当てに関する研究を開始する。 難民の割り当てに関する国際協定の研究は、交渉ゲームに関する命題の証明が一つ完成していないので、それを完成させて、学術雑誌投稿を目指す。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため予定していた海外出張が全てキャンセルになったため。また、遠隔授業の準備に忙殺されたことも影響している。 今年度も出張できるか微妙ではあるが、ワクチン接種が進み出張が可能になれば、共同研究者のいるオーストラリアに出張し共同研究を行う。その他に、長年勤めた大学を退職し、今年度より別の大学に移籍したので、研究環境の整備にも研究費を利用したい。
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Research Products
(2 results)