2023 Fiscal Year Research-status Report
割引コストのもとで情報構造を最適に決定する主体の理論的分析
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20K01562
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
東 陽一郎 岡山大学, 社会文化科学学域, 教授 (80327692)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 情報収集 / 情報の価値 / 曖昧さ / ベイズ改訂 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、情報収集の費用が必ずしも加法的でない場合に対応したモデルの公理的特徴づけの論文の改訂を引き続き行った。この論文は国際英文査読雑誌から改訂の要求が来ている。本年度の改訂では、情報を得るタイミングに対して、上記のモデルに従う主体がどのような態度を持つかに関する分析を詳しく行った。情報収集の費用が加法的である既存研究では、主体は情報を得るタイミングに対しての態度は固定的で、自分の選択より先に情報を得ることを好む。一方、情報収集の費用が必ずしも加法的でない場合、主体は自分の選択より後に情報を得ることを好むことがある。この性質がモデルのどのような特徴から得られるかに関して詳しい議論を論文に追加した。また、これと合わせて、モデルの中での中心的な公理を既存研究で仮定されている性質を用いることなく解釈可能であることを議論した。 以上の研究では、主体は客観的な状態空間上に単一の信念を持つことを仮定している。しかし、エルスバーグの逆理が示すように、主体は状態空間上に単一の信念を持つとは限らない。このような曖昧さに直面し、曖昧さ回避行動を行う主体を許容するモデルの公理化も行った。この論文では、主体は状態空間に関する曖昧さ以外に、情報収集により得られるシグナルに対しても曖昧さをもちうることが示された。 これら以外に、本年度は、誘惑や事後の後悔を持つ主体を含む一般のモデルにおいて、客観的な情報を得た後に主体が信念をベイズ改訂する状況を特徴づけた論文を改訂した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、情報収集の費用が必ずしも加法的でない場合に対応したモデルの公理的特徴づけの論文の改訂を引き続き行った。この論文は国際英文査読雑誌から改定要求が来ているが、改訂した論文を再投稿した段階で、論文の受理にまだ至っていないため。また、曖昧さをもつ主体が情報収集を行う論文の作成を引き続き行う予定のため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、情報収集の費用が必ずしも加法的でない場合に対応したモデルの公理的特徴づけの論文の改訂を行い、論文が受理されることを目指す。これに加え、曖昧さをもつ主体が情報収集を行う論文の作成を続ける予定である。
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Causes of Carryover |
計画期間のほとんどが新型コロナウィルス感染症の感染対策期間であったため、予定していた出張を行うことができなかった。情報収集の費用が必ずしも加法的でない場合に対応したモデルの公理的特徴づけの論文の改訂と曖昧さをもつ主体が情報収集を行う論文の作成を続ける予定である。これらの研究の遂行のため旅費や英文校正の費用が必要となる。
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