2020 Fiscal Year Research-status Report
Theory of Coordination Timing Games and Application to Economics
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20K01563
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
渡辺 隆裕 東京都立大学, 経営学研究科, 教授 (70220895)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ゲーム理論 / ナッシュ均衡 / 調整ゲーム / タイミングゲーム / 均衡選択 / 社会学習 / 共有知識 / コーディネーションゲーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、調整型タイミングゲームについて、均衡の存在条件や複数の均衡がある場合の均衡選択理論の構築、およびその応用を研究目的としている。2020年度は、調整ゲームに関するサーベイ、並びに均衡選択の理論であるグローバルゲームについてのサーベイを行った。
主にサーベイした文献は、以下のとおりである:(1)Camerer(2003)を中心に調整ゲームの実験結果を把握し、特にフォーカルポイントの議論について、Schelling(1968)、Mehta, Starmer and Sugden (1994)について調べた。(2)Cho and Kreps(1987)のシグナリングゲームに対する直観的基準の議論が、フォワードインダクションを通じて調整ゲームの均衡選択に関連することを理解し、それついてまとめた。特にタイプが2つの場合の直観的基準の簡便な定義を行い、調整ゲームに応用した。(3)多人数の調整ゲームについては、社会学習と合理的群衆行動も関連することを発見し、その代表的な文献であるBikhchandani, Hirshleifer and Welch(1992)とChamley(2004)をサーベイした。(4)共有知識の観点から、調整型タイミングゲームの均衡選択を理解するために、共有知識の形式を用いて調整型タイミングゲームを議論したMorris(2014)をサーベイし、共有知識の理解を深めるためにGeanakoplos(1994)をサーベイした。
これらの結果は学術的な成果として発表することはできなかった。しかし「トイレットペーパーの買い占め問題」などに応用することで、日経MJの記事などの社会に貢献する解説文を発表することはできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の中、2020年度はオンラインの講義準備に多大な時間を取られ、研究を十分に進めることはできなかった。また、国際学会のとりやめもいくつかあり、情報の交換も思うようには進まなかった。
サーベイにより研究課題は、フォワードインダクション、社会学習とベイズ推論、共有知識、実験経済学など多くの分野と関わることを知り、研究の広がりと意義について再認識した。しかし、方向性を広げすぎたために、具体的な成果は出せなかったと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ対策のためのオンラインの講義は、オンデマンド型の講義準備を2020年度に完成し、これは2021年度以降もりようできるため、講義準備に関するエフォートの配分は、2021年度以降は少なくなると考えられ、研究を推進し、遅れを取り戻す予定である。
研究の方向性としては、フォワードインダクションや実験経済学との関連も意識しながら、当初の研究目的であったグローバルゲームや質的応答均衡に関する均衡選択に焦点を絞ることで、具体的な成果をあげたい。
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Causes of Carryover |
消耗品等の価格変動によって29円の誤差が生じた。次年度に使用していきたい。
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