2021 Fiscal Year Research-status Report
Theory of Coordination Timing Games and Application to Economics
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20K01563
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
渡辺 隆裕 東京都立大学, 経営学研究科, 教授 (70220895)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ゲーム理論 / 調整ゲーム(coordination game) / タイミングゲーム / 均衡選択 / グローバルゲーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、相手と行動するタイミングを調整して選ぶ「調整型タイミングゲーム」において、(1)純粋戦略均衡の存在条件を明らかにし、(2)複数均衡がある場合に,その均衡選択を行う理論を構築し、(3)その成果を「ネットワーク外部性がある財市場への参入タイミング」や「投資に正のスピルオーバーがある場合の投資タイミング」の問題などに応用すること、を目的としている。 2021年度は、上記目的の(1)と(2)を中心に研究を行った。まず(1)については純粋戦略均衡が常に存在するという結果を得た。また、サーベイにより多人数のプレイヤーの場合はGale(2001)が同じ問題を扱っていることが分かり、その応用可能性を検討した。 (2)の均衡選択理論の構築としては、グローバルゲームの応用が考えられる。グローバルゲームによる均衡選択は、Carlsson and van Damme (1993)によって作られたものだが、その後、Morris and Shin (2003)によって大きく発展し、近年はBergemann and Morris(2019)等の情報設計問題として非常に注目度が高い分野である。 そこで2人非対称ゲームのグローバルゲームを考察する必要がある。研究を進めることで、2人非対称ゲームにおけるグローバルゲームでの均衡選択では、利得の非対称性、ノイズの大きさと非対称性が、均衡選択や調整の成功に関係すること、そしてそれは既存研究ではあまりなされていないことが分かった。 また研究を進める中で、本研究においては各段階でのゲームにおける戦略的情報伝達の問題が重要であることが分かり、これらの情報設計問題と関わることを発見した。 これらの発見はあったが、2021年度は研究段階にとどまり、学会発表や論文発表などの具体的な研究実績は得られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウィルスの感染拡大のため多くの学会や研究会が中止となったため当初予定していた学会や研究会の参加、他の研究者との共同研究や情報交換の機会を失い、研究は当初の計画通りに進まなかった。 研究実績の概要で述べた通り、本研究の中心課題は「2人タイミングゲームにおける均衡選択問題」であることが明らかになった、しかしこの課題を解決するためには、その前に以下の2つの重要な課題を解決しなかればならない。 (1)グローバルゲームの出発点であるCarlsson and van Damme (1993)は、本研究の課題を解決するためには、2人非対称ゲームのグローバルゲームを考察しているものの、その後、Morris and Shin(2003)を中心に発展したグローバルゲーム研究では無限人対称ゲームが中心となっていて、2人非対称ゲームにおけるグローバルゲームでの均衡選択において、利得の非対称性、ノイズの大きさと非対称性がどのように関わってくるのかは、それほど明らかにされていない。本研究課題を遂行するためには、これらを明らかにする必要がある。 (2)本研究の課題を解決するためには、各段階における各プレイヤーの行動が、相手プレイヤーに情報を伝えることになるため、プレイヤーの戦略的情報伝達の問題を考慮する必要がある。プレイヤー1人が先に行動し情報を伝達する場合は通常の「シグナリングゲーム」と考えることができるが、プレイヤー2人が情報伝達を考慮して同時に行動する場合については、あまり知られている問題とは言えないため、それを研究する必要がある。 本研究課題を遂行するためには、上記の2つの課題を解決する必要があり、現在はその課題解決に取り組んでいるところである。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況で述べた通り、本研究課題の解決のためには、2つの大きな課題が存在し、それをまず解決する必要がある。この2つの問題の解決は、それ自体がゲーム理論や経済学の研究に大きなインパクトを与える可能性があるため、今後はこれらの問題の解決に取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
コロナウィルス感染拡大のため、多くの国際学会や研究会が中止となり、そこへ参加するためお予算が未使用に終わった。これについては2022年度の参加を増やし、研究計画を加速する予定でいる。
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