2023 Fiscal Year Annual Research Report
Theory of Coordination Timing Games and Application to Economics
Project/Area Number |
20K01563
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
渡辺 隆裕 東京都立大学, 経営学研究科, 教授 (70220895)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ゲーム理論 / コーディネーションゲーム / グローバルゲーム / 市場参入 / 投資 / リスク支配 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年は、研究課題の最終年度として、これまでの理論的な研究成果に基いて、2企業の2時点での投資や市場の参入タイミングについて、グローバルゲームのよって分析を行い成果を得た。以下にそのモデルの概要を示す。 対称な2企業の2時点における市場参入のタイミングを考える。第2期の需要は確実で市場が大きくなるとことが分かっており、第2期は企業は1社で参入しても利益を得られる。 第1期に市場に参入した時の収入は不確実で、各企業ともその収入額をを正確に知ることはできず、(各企業で独立した)ノイズを持って観測する。市場で売られる財にはネットワーク外部性があり、2企業が同時に市場に参入すると、各企業の収入は大きくなる。需要が非常に大きいときは、1社で参入しても黒字になるが、非常に小さいときは2社で参入しても赤字になる。需要が中間的な場合は、1社で参入すると赤字になるが、2社で同時に参入すれば黒字になる。この場合は、同時に両者が参入することが、両企業にとってパレート最適であるが、相手が参入しなければ第2期まで待ったほうが良く、企業はコーディネーションの問題に直面している。なお市場に参入する費用は両時点とも同じであるとし、割引率は一定であるとする。また、需要とノイズの確率分布は一様分布を仮定した。 この参入タイミングの問題は、完備情報では均衡が2つ現れ、どちらの結果が起こるかが決定できない。本研究ではグローバルゲームの手法を用いて分析を行い、ノイズが小さいときには唯一の均衡が存在することを示し、その特徴を明らかにした。現在、その成果を論文にまとめている。最終報告書ではその概要を示すことができる見込みである。
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