2021 Fiscal Year Research-status Report
Victorian rationalist feminism: Unitarian women's social reform ideas
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20K01581
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
舩木 恵子 武蔵大学, 総合研究所, 研究員 (00409369)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ユニテリアニズム / ウーマン / ヴィクトリア時代 / リベラル・フェミニズム / 女性の自立 |
Outline of Annual Research Achievements |
3月20日(土)~21日(日)にzoomにて開催された日本イギリス哲学会、第45回・研究大会において、シンポジウムIでの報告を依頼され、「イギリスにおけるジェンダー論のルーツ」のシンポジウム・テーマのなかで、本研究の一部内容を第1報告者として「ユニテリアン・ウーマンとリベラル・フェミニズム」と題し報告した。また第1、第2報告終了後に、このシンポジウムの意義と内容について、第2報告者とイギリス思想、および文学の側面から30分ほどの対談をおこなった。 その後、この内容は武蔵大学総合研究所紀要No.30に「イングリッシュ・ユニテリアニズムの形成とリベラル・フェミニズム」と題し、研究論文にまとめて発表した。 3月30日に出版されたメアリー・ペイリー・マーシャル著・松山直樹翻訳『想い出すことーヴィクトリア時代と女性の自立』(晃洋書房)において解説1(p.99-108)を担当し、写真の提供もおこなった。その後、12月18日(土)14時より、zoomにて開催された経済社会学会西部部会にて、本書の翻訳者及び解説2の担当者と共にこの本に関する報告をおこなった。 本年度、7月のイギリス、スカーバラで開催されたマーティノゥ・ソサエティ・コンファランスへの参加は新型コロナウイルスの感染拡大のため見送ったが学会誌への投稿はおこなった。掲載は2022年春号である。その他依頼されて執筆をした論文2本と書評1件があり2021年度中に校了したが、出版年の関係で実績の記載は2022年度になる。本年度におこなった日本イギリス哲学会のシンポジウム報告では多くの質問や助言を哲学や思想、また文学の側からいただき本研究課題に関する多大な助言となり研究の推進に役立った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍の中で海外の学会に参加することができないながら、ほとんどの国内の研究会、学会がzoom開催になり、普段参加しない研究会や学会に参加できたことは、本研究にとって助力となった。研究の外郭は本年度の論文の中でほぼ主張することができた。今後はさらに内容を深めていくことが重要であると理解している。具体的には証拠を数多くかためる文献からの引用が重要であり、文献調査が必要となる。その点で、資料、書籍類は購入でき、本年度は移動時間が少なかったこともあり、研究する時間が取れた。但し、本年3月に日本イギリス哲学会全国大会においてシンポジウムでの報告の際に文学の専門家と対談する経験を得て、実は文学に関する分野にもある程度の知識が必要であることに気づかされた。研究の促進とともに本研究課題の広がりが諸所であり、特にイングリッシュ・ユニテリアニズムとアメリカのユニテリアニズムとの関係も本研究の対象である19世紀においては、密接であることがわかってきた。研究を進めるごとに課題の主旨を深めるような発見があるが、その理由として本研究課題は、今までそれほど注意を向けられていなかった女性の思想的変革を扱っているため、先行研究以外で発見することが多く、また諸分野に散逸している先行研究が、この研究課題に含まれると繋がりを持つことも理解でき、研究内容の発展可能性が大きいことがわかってきた。現代社会のジェンダー問題が透けて見えることも実感しており、おおむね順調に進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題がイングリッシュ・ユニテリアニズムという日本社会ではあまりなじみのないイギリス近代思想を扱い、その前提に基づいて女性たちの意識変革を研究対象としている点で、この研究課題が斬新であるとともに、広く理解者を広げることが重要であると理解している。またジェンダー問題の側面からも、この研究課題は現代的な意義があると考えている。 その点において重要なのは、本研究の主題であるイングリッシュ・ユニテリアニズムはイギリス思想史研究の中で、すでに先行研究として数多くの研究の中に意識されずに、あるいは見え隠れしながら含まれているということを主張する必要がある。つまりこの研究課題は斬新であるとともに、研究史において見えなかったものを、あるいは意図的に排除されてきたものを視覚するという重要な役割があるのではないかと理解している。今後、残された時間的制限を考えると、着地点を絞る必要があるが、まずは本研究におけるそれらの証拠(イギリス思想史におけるユニテリアニズムの存在)を固めること、つまり文献調査によってその部分を証明することが重要事項であると考える。さらにヴィクトリア時代からその後の時代(現代にいたるまで)に、それはどのような影響を与えてきたのかを明らかにする必要もある。 したがって今後の研究の推進方策として重要なのは、時間的要件を考慮しながら、ユニテリアン女性たちの経済思想を中心に絞って研究する方向性が必要だと考える。ユニテリアン女性のモットーが「経済的自立」であることはすでに主張してきたので、その経済思想を明らかにし、現代的意義を考えるという方向性で、今後ユニテリアニズムと女性の意識の発展の歴史を明らかにする。
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Causes of Carryover |
本年度はコロナ禍により海外、国内共に移動の制限が生じ、海外での文献調査や学会報告ができなかったり、また国内で行われる学会であってもZoom開催になることがほとんどという状況が継続したので、次年度使用に変更せざるを得なかった。 本年度は昨年度と異なり、確かに場合によっては対面の研究会や学会が計画されることもあったが、直前で大学サイドや政府の措置等でZoom開催になるケースがほとんどだった。3回目のワクチン接種がなかなかできなかったこともあり、単独での国内文献調査も控えざるを得なかった。 今後は2022年度に感染状況や政府のコロナ対応を考慮しながら研究に必要な文献調査や学会報告の費用や物品購入の購入費用の一部として繰り延べたものを使用する予定である。
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Research Products
(4 results)