2021 Fiscal Year Research-status Report
Study on the relationship between financialization and neoliberalism in theory, policy, and thought
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20K01584
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Research Institution | Ohtsuki City College |
Principal Investigator |
内藤 敦之 大月短期大学, 経済科, 教授 (40461868)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ネオ・リベラリズム / ポスト・ケインジアン / 認知資本主義 / MMT / 内生的貨幣供給理論 / マクロ経済レジーム |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は昨年度に引き続き、文献のサーベイを中心に行った。第一に、いわゆるネオ・リベラリズムという現象とは何であるかを政策面から明らかにするために、単に思想的な背景だけでなく、特にそのような政策が必要とされる理由を分析した。第二に、金融化とネオ・リベラリズムの関係を明らかにするために、レジーム論的な枠組において、金融化の進展したポスト・フォーディズム期の経済政策が果たす役割を分析した。また、マクロ・レジームにおけるそのような政策の整合性と安定性への効果についても考察した。第三に、ポスト・ケインジアンの貨幣・金融アプローチにおいて、近年の金融政策がどのように形成されたかを理論的及び歴史的に検証し、ネオ・リベラリズム的な政策思想とどのような関係にあるのかを分析した。また、ネオ・リベラリズムに対抗しうる政策として反緊縮政策の理論的な根拠についても検討した。第四に、経済思想史的な検討を行う。認知資本主義論におけるネオ・リベラリズムとフーコーの関係の分析だけでなく、より積極的にフーコーの議論を参照してネオ・リベラリズムという思想の意味及び位置付けについて考察した。今年度の成果としては「コロナ禍の日本経済-ポスト・ケインジアンの視点からのマクロ経済分析」(経済理論学会第69回大会、2021年10月16日)において、ポスト・ケインジアンの貨幣・金融論と認知資本主義論の視点から日本経済のマクロ経済レジームの分析と経済政策の分析を行い、日本においても認知資本主義レジームの基本的な特徴が当てはまることを確認し、内生的貨幣供給論とMMTによって、特に金融政策について考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本経済のマクロ経済レジームの分析がある程度、行えたため、目標の一つの達成が可能となってきているから。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は第一に、ネオ・リベラリズムの概念自体の検討を行う。ネオ・リベラリズム及びその政策の概要と役割についてサーベイを行い、金融(化)との関係を中心に検討する。また、背景となる思想及び、実際の政策とその結果との乖離についても検討する。特にネオ・リベラリズム的な思想が誕生した時期のオルド・リベラリズムと戦後の新古典派経済学の展開についてのサーベイを行う。第二に金融化という現象について検討する。金融化論の枠組にネオ・リベラリズム政策を明確に位置付けた上で、あらためて金融化の過程の分析へと統合する。第三に金融化の進展する現代経済のマクロ的な連関を明らかにするためにマクロ・レジーム論の検討を行う。また、金融主導型レジームの不安定性と政策の関係を考察し、金融主導型レジームをベースに、ネオ・リベラリズム政策を統合したレジームを検討し、提示する。さらに日本経済の特徴に関してもレジーム分析に基づいて考察する。第四にポスト・ケインジアンの貨幣・金融アプローチの検討を行う。ミンスキーの金融不安定性論の影響を受けた研究における金融の自由化及び規制緩和政策に関するサーベイを行い、不安定性にどのように寄与したかを考察する。また、インフレーション目標政策論などの主流派の金融政策論への批判に関しても検討する。さらに緊縮政策に関するサーベイと反緊縮政策の理論的な根拠ともなっている現代貨幣理論(Modern Money Theory)に関しても検討する。
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