2022 Fiscal Year Research-status Report
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20K01594
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
藪 友良 慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (90463819)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 貨幣需要 / log-log / semi-log / 金利 / M1 / ゼロ金利政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
Watanabe and Yabu (2019)では、1985年から2017年までのデータを用いて、日本において貨幣需要関数は、semi-log formよりlog-log formの方が適切であったことを示している。これは金利が低下すると、貨幣需要は徐々に発散していくことを意味している。また、彼らは、低金利が長らく継続した後、金利が上昇した局面であった2006年に、貨幣需要関数が上方にシフトしていたことを明らかにした。 彼らへの批判として、貨幣需要関数は2006年に上方シフトしたのではなく、これは一時的な現象だったのではないか、というものがあった。このため、我々はデータを2022年まで延長することで、貨幣需要関数の上方シフトが一時的なものであったかを確認した。その結果、2006年における貨幣需要関数の上方シフトは一時的なものではなく、その後も継続していたことを明らかにした。 Watanabe and Yabu (2023)では、米国においてもlog-log formが正しいこと、また、低金利が長らく継続した後、金利が上昇した局面であった2015年において、貨幣需要関数が上方にシフトしていたことを明らかにした。これは低金利が継続した後、金利を上昇させた局面において、貨幣需要が低下しないことを意味している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りに研究ができている
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究によって、低金利が継続した後、金利が上昇した局面において貨幣需要関数が上方にシフトしていたことがわかった。今後の研究では、金利を上昇させる局面において、なぜ貨幣需要関数が上方にシフトしたのかを明らかにしたい。
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Causes of Carryover |
コロナの影響で旅費支出がなくなり、その代わりに、人件費での支出が増えたことで、差額が生じている。その差額は次年度の物品費に充当する。
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