2021 Fiscal Year Research-status Report
時系列解析による合理的バブルの発生と崩壊現象の推測、並びに波及経路の解明
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20K01600
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
片山 直也 関西大学, 経済学部, 教授 (80452720)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 合理的バブル / 共和分検定 / 単位根検定 / 多変量時系列モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年から開始した研究「バブルの発生や崩壊が含まれるときの共和分回帰モデルの推定問題」を進めた。この研究は、感染症の分野のSIRモデルとも関係している。このモデルでは、少なくとも感染の初期では、陽性者数の指数級数的な増大に連動して、重症患者数が増大するモデルとなり、これは2つの指数級数的な増大する確率過程が、共和分となっている現象と解釈できそうである。また、共和分関係も、フェーズとともに変化すると考えられる。 今年度は、共和分ベクトルとラグの最小二乗推定量の一致性を示した。さらに拡張についてもいくつか考えた。例えば、複数のバブルがあった場合への拡張や、KPSS検定への応用、共和分ベクトルがフェーズとともに変化した場合の拡張である。この最後の拡張のモデルは、SIRモデルとも解釈できるが、経済理論でもS&P500のバブル崩壊が、石油価格高騰につながったとする、Caballero, Farhi, and Gourinchas (2008, Brookings Papers on Economic Activity)にも通じるモデルで非常に興味深い。 すでにシミュレーションも行い、妥当な結果が出たため、理論結果は正しいと思われ、ワーキングペーパーにするため、執筆中である。これら研究の一部は、オンラインではあるが、2021年1月には、関西計量経済学会研究会でも講演を行った。コロナ禍で研究費を使う機会が少ないが、今後は、論文の校閲や投稿費、学会参加費などで使用し、いまの研究をより、精密に仕上げるとともに、実証研究ができないか検討しようと思う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年、コロナ禍により、研究に集中できない日々が続いたが、理論結果がまとまったために、大きく進展をしたと考える。現在、この理論結果をワーキングペーパーにするため、執筆中である。これら研究の一部は、オンラインではあるが、2021年1月には、関西計量経済学会研究会でも講演を行った。コロナ禍で研究費を使う機会が少ないが、今後は、論文の校閲や投稿費、学会参加費などで使用し、いまの研究をより、精密に仕上げるとともに、実証研究ができないか検討しようと思う。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、研究実績の概要に述べた研究について、5月中をめどにワーキングペーパーにまとめ、夏ごろまでには、論文を投稿したいと考えている。秋以降は、まとめた研究を研究集会で発表していきたいと考えている。また、実証研究も行えないか検討したい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として、参加予定の研究集会が中止、あるいはオンライン開催となったため、研究旅費を使用することができなかったことがあげられる。また、新しい研究テーマに着手した時期が遅かったために、まだ研究費を使うほどの、研究成果となっていないことがあげられる。今後は、現在進行中の研究を夏ごろまでにまとめて研究発表を行うことで、研究費を使用する予定である。
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Research Products
(2 results)