2020 Fiscal Year Research-status Report
Impact Evaluation of Protected Area Management Policy on Household Welfare in Nepal
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20K01601
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
Pandit Ram 北海道大学, 農学研究院, 招へい教員 (00865355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 陽子 北海道大学, 農学研究院, 講師 (30520796)
近藤 巧 北海道大学, 農学研究院, 教授 (40178413)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Nepal / NLSS / Buffer zone policy / National park / Poverty alleviation |
Outline of Annual Research Achievements |
ネパールでは、1993年にNational Park and Wildlife Conservation Actを決定し、チトワン国立公園を筆頭に、Buffer Zone政策(以下、BZ)を開始した。BZは"fence and fines"による失敗をもとに、新たに設計された制度で、国立公園の周囲に居住する住民や地区に対し、国立公園の収入の一部を還元することで、住民の所得獲得や森林保護を進める政策である。現在はネパール国内の複数の国立公園などが対象となり、様々な効果が報告されており、本研究の目的は、そのインパクトをネパールの世帯データ(NLSS)をもちいて明らかにすることである。具体的なインパクトとして既存研究では、まず直接的な効果として、①近隣世帯における所得向上、②近隣農家世帯における土壌保全効果が報告されているほか、間接的な効果として、人口過密なカトマンズへの人口流出の緩和効果が指摘されている。BZでは、小規模バイオガス施設の整備や農村女性の就業支援、マイクロファイナンス事業など、様々な取り組みがなされており、その効果も様々であると予想される。
分析では、NLSSを山岳部、丘陵地帯、平野部(Terai)に分け、職種ごとに賃金所得について、BZ政策の内外に分けて比較した。レストランや小売り業などで、BZ内の世帯の平均所得がBZ外のそれに比べて高い結果となり、BZによる生態系の維持が観光業の発展に繋がっていると予想された。また、丘陵地帯では、輸送業の所得が非常に高かったことから、登山客の荷運びなどによる収入と予想される。ただし、ネパールは近年観光業も発展しており、BZの因果効果については、更なる検証が必要である。また、BZによる取り組みは、貧困削減から環境保全まで、様々であることから、今後は、個別に取り組み内容の確認も進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
データ収集の方法として、現地調査を予定していたが、今年度については、実施が難しく、また、現地のカウンターパートへ調査を依頼することも可能であるが、調査項目の選定まで進めていない。ただし、現在入手している世帯調査データ(NLSS)をつかい、できる限りの分析を進めている。また、共同研究者と対面での議論の機会がとれなかったが、オンラインによる打ち合わせは数回実施しており、進捗状況については共有されている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、世帯データの分析を進める。同時に、BZ政策に類似する政策が各国で行われており、そのインパクトに関する研究も報告されていることから、既存研究のレビューを進めながら、分析枠組みやモデルの検討材料とする。 また、現地調査については、現地の状況も勘案しつつ、実現へ向けて準備を進めていく。また、共同研究者との対面による研究打ち合わせについても、状況をみながら実現できるよう準備を進めていく。
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Causes of Carryover |
共同研究者との対面による研究打ち合わせにむけ、旅費を計上していたが、渡航自粛によるオンライン打ち合わせとしたため、次年度使用とした。また、カウンターパートによる現地調査の準備も進めたが、現地においても同様に、農村での対面調査が認められないなどにより調査が実現しなかったため、物品費や人件費についても次年度使用とした。
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