2020 Fiscal Year Research-status Report
Relational Contracts and Information Management
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20K01603
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石原 章史 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (80643668)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 関係的契約 / 情報管理 / インセンティブ / 情報伝達 / 組織の経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画にある中心的な課題について以下の進展があった。(1)専門家と意思決定者による情報の伝達のモデルを構築した。モデルでは専門家が意思決定者に献金の形で意思決定者に金銭移転を行う可能性を考慮し、意思決定者が金銭享受によって専門家の情報を歪めて解釈しうることを示した。(2)関係的契約下において、エージェントに関する情報をプリンシパルが開示するかどうかを決めるモデルを考察し、プリンシパルが情報を開示することが望ましい必要十分条件についての分析を行った。
また、中心課題と関連して以下のことが達成された。(1)上司と部下の意思決定問題における部下への非公式な権限移譲の可能性を考察したモデルを構築した。モデルでは部下が上司に意見を述べることを避けるために部下の情報を活用するような非公式な権限移譲が不可能になることを示し、このメカニズムがいくつかの事例を説明できる可能性があることを指摘した。この研究は論文としてまとめられ、現在査読付き英文雑誌に投稿中である。(2)(1)と類似する環境において、上司が関係的契約による裁量的なボーナスと公式の権限配分によって部下のインセンティブ問題を解決するモデルを構築した。上司と部下の関係性の継続度合い(割引因子)によって最適な権限配分が異なりうることを発見した。(3)関係的契約下でのチームの監視の影響を分析した研究を論文としてまとめ、現在査読付き英文雑誌から要求に従い改訂中である。(4)意思決定の選好が異なる状況での関係的契約と公式の権限委譲の相互作用を分析し、権限委譲と割引因子の関係性を明らかにするとともに、既存の実証研究と整合的であることを発見した。この研究は論文としてまとめられ、現在査読付き英文雑誌に投稿中である。 (5)企業における推薦雇用制度を考察するモデルを構築し、推薦雇用制度の是非とインセンティブ契約の関係性について分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの影響で想定とは異なる状況で研究課題を進める必要があったことと、他の研究課題に優先的に行わなければならないことが多かったため、特に中心課題については想定よりも進展させることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
中心課題について、学会での報告が可能なレベルに分析を進めることを目標とする。
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Causes of Carryover |
2020年度は新型コロナウィルス感染症の影響で研究会・学会参加の活動に大きな制限がかかったため、2021年度以降の活動で代替する必要があるため。
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Research Products
(1 results)