2023 Fiscal Year Research-status Report
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20K01607
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
樹神 昌弘 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (20450512)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 労働者送金 / 経済成長 / 開発途上国 / 動学一般均衡モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
開発途上国におけるマクロ経済モデルを念頭におきながら、3種類の経済モデルを構築した。それらは以下のモデルである。1)標準的なラムゼイモデル、2)Learning-by-doing(LBD)モデル、3)Keeping-up-with-Joneses(KUJ)モデル。 また、現実の経済データに基づき、上記のモデルのカリブレーションを実施した。これにより、シミュレーション分析で用いるパラメータの値を特定化した。 以上のマクロ経済モデル及びパラメータを用いることにより、シミュレーション分析を行った。その結果、労働者送金(以下、送金)の効果として、次のことが明らかになった。送金が経済成長を引き起こすという結果は、比較的広い範囲のパラメータの値において、確認されることはなかった。ただし、パラメータの設定によっては、送金が経済成長促進することも起こり得ることが分かった。 借入と異なり、送金受取は返済の義務が生じないため、受け取ることが必ずしも将来の負担とはならない。それにも拘わらず、送金が経済成長を大きく促進しないという結果は興味深い。考察の結果、このようなことが起こる理由の一つとして、送金の与え方が重要であることが浮かび上がった。また、送金の受取手が、送金をどのような資金としてとらえているかも重要であることが分かった。 今後の課題としては、実証分析との比較も視野に入れている。先行実証分析によれば、送金は経済成長に対して正の効果を持つことが、明らかになりつつある。そうした実証研究との整合性を考慮した分析を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウィルスによる影響のために、研究遂行が困難な状況が続いていた。一方、2023年以降については、状況は大きく改善されたため、研究の加速が期待できる環境になりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年以降については、外国出張についての状況は大きく改善されたため、研究の加速が期待できる環境になりつつある。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスによる影響のために、外国出張が困難な状況が続いた。
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