2020 Fiscal Year Research-status Report
一般寡占均衡下における貿易、環境及び雇用の政策分析
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20K01614
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Research Institution | Nara Prefectual University |
Principal Investigator |
斉藤 宗之 奈良県立大学, 地域創造学部, 准教授 (00547250)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | international trade / the environment / imperfect competition / pollution emission |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、まず、排出税、貿易自由化の効果等を一般寡占均衡における国際貿易モデルの下で検討した。貿易の開始によって環境を改善しうるかについては、以前より取り組んでいた論文、"North-South Trade and the Environment in General Oligopolistic Competition"の推敲を重ね、英文校正に出す段階まで進めた。 本論文では、Dornbusch, Fischer and Samuelson(1977)型の連続財に環境を導入し、二国間の南北貿易モデルで、貿易パターンや貿易開始により汚染排出が各国においてどのように変化するのかを分析したCopeland and Taylor(1994)の記念碑的論文をベースに、各部門が寡占競争市場であるモデルを構築した。そして、まず人的資本ストックが二国間で異なる南北貿易下において、結果がどのように変わってくるのかを検討した。特に、環境政策による財市場への影響を考慮しない状況下で、厚生を最大にする環境政策を採用した場合、各国の汚染排出量が閉鎖経済と比較した場合、自由貿易ではどのように変化するのかを考察した。主要な結論としては、Copeland and Taylor(1994)の結果とは異なり、完全競争産業ではなく寡占産業を想定することで、先進国が汚染排出の少ない産業に特化したとしても、各寡占産業において企業の過剰参入が生じることで、先進国においても自由貿易により汚染排出量が閉鎖経済と比較して上昇する可能性があることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究では、貿易、環境に関する問題のうち、貿易自由化と環境政策、雇用の関係に注目し、寡占競争下における環境政策や貿易政策が雇用、特に労働者の賃金等にどのような影響を与えるのか、また、環境改善と雇用を維持するために、どのような政策介入が妥当なのかを明らかにすることが目的である。 今年度の当初予定では、今までの研究課題に関する論文の海外投稿を実施することを目指していたが、海外雑誌に投稿するに至っていない。また、英文校正を実施していない状況であり、その前段階である論文の推敲までしか実施できなかった。また、2012年に杉山泰之氏(福井県立大学)との共同論文“International Trade, Fair Wages, and the Environment”(未公刊)である論文についても、まだ論文の推敲、英文校閲ができていない状況で、研究が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の前半では、未公刊の論文2つを海外雑誌に投稿する予定である。また、当初予定である、Copeland and Taylor(1995)の記念碑的論文をベースに、各部門が寡占競争市場であるモデルを構築し、人的資源ストックが似通った国同士での貿易取引が開始されると、各国での、あるいは世界全体での汚染排出量がどうなるのか等について分析し、Copeland and Taylor(1995)とどのような点で異なるのかを検討する。 ただ、今年度も昨年度同様に厳しい状況であるので、少なくとも2つの論文の投稿を実施し、新たな論文モデル作成と分析の大まかな結果は少なくとも得ることができるように、研究を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
当該年度では、Covid-19の影響で旅費を使用することがなく、当初予定していた英文校正ができなかったため、その費用を利用できなかった。 今年度は、2本の論文の英文校閲に25万ほどかかる予定である。また、どこまで人の移動ができるようになるかは不透明だが、学会及び研究会での研究報告をする予定である。 さらに、論文執筆に関わる専門書籍の購入に約20万ほど使用する予定である。また、消耗品・ソフトの等に20万ほど使用する予定である。
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