2020 Fiscal Year Research-status Report
The use of GIS and tools of spatial statistics and spatial econometrics for urban and regional economic analysis
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20K01617
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
河端 瑞貴 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (60375425)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 地理情報システム(GIS) / 空間統計 / 空間計量経済学 / 都市・地域経済分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
地理情報システム(GIS)ソフトウェアのArcGIS ProとGeoDa、統計解析ソフトのStataの最新の空間統計・空間計量経済分析ツールを調査し、効果的な連携・活用法を開発した。日本経済学会2020年秋季大会において、チュートリアルセッション「GeoDaの空間統計ツール」を開催した。オンラインGIS教材(https://sites.google.com/view/gis-online-learning/)を作成し、公開した。オンラインGIS教材を大学学部・大学院の授業等で実践し、効果を検証した。 GISと空間統計・空間計量経済分析ツールを活用して、先進国の中で著しく貧困率の高い日本の母子世帯の子供の空間集積パターンを分析した。その結果、日本には、母子世帯の子供の空間クラスターが多数存在し、その多くは北海道と西日本に見られた。空間固定効果モデルを推定した結果、2000年から2010年にかけて、母子世帯の子供率は、所得増加が小さく、転出率の高い地域で増加したことがわかった。研究成果がCSIS DAYS 2020優秀共同研究発表賞を受賞し、Journal of Spatial Econometricsに掲載された。 GISと空間計量経済モデルを用いて、東京都の地震リスクを軽減する都市整備の効果を分析した。その結果、地震リスク軽減地区では地価が上昇すること、火災危険度の軽減および密集市街地の解消は、当該地区だけでなく周辺地区の地価を上昇させるスピルオーバー効果のあることが明らかになった。推定値に基づくと、東京都の2012年から2017年の密集市街地解消政策には、スピルオーバー効果を含めない場合で1210億円、スピルオーバー効果を含めると3630億円(閾値500m)、2940億円(閾値750m)の便益があるとの推定結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、(1)都市・地域経済分析に有用なGISと空間統計・空間計量経済分析ツールの連携・活用法の開発、(2)開発した活用法の都市・地域経済分析への応用、(3)GISと空間統計・空間計量経済分析ツールの活用法の教材の開発、の3点の達成に取り組む。(1)、(2)、(3)のいずれも概ね計画通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)引き続き、都市・地域経済分析に有用なGISと空間統計・空間計量経済分析ツールの連携・活用法の開発に取り組む。ArcGIS Proは頻繁に(年数回)アップデートされている。GeoDaは2020年に4回アップデートされている。最新のGISと空間統計・空間計量経済分析ツールを調査し、効果的な連携・活用法を開発する。 (2)開発した活用法を、都市・地域経済分析に応用する。地震リスクを軽減する都市整備の効果について、空間的により詳細なスピルオーバー効果の分析、東京都の木造住宅密集地域(木蜜地域)データを用いた新たな分析を進める。 (3)引き続き、GISと空間統計・空間計量経済分析ツールの活用法の教材の開発を行う。開発した教材を、大学学部・大学院の授業等で実践して効果を検証する。その結果を基に教材を随時改良していき、ウェブページ等で広く公開する。
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Causes of Carryover |
2020年度に研究発表を予定していたSpatial Econometrics Association (SEA) World Conference(スウェーデン)が新型コロナウィルス感染拡大のため開催中止となったため、使用額が減額となった。2021年のSEA World Conferenceは5月にオンラインで開催されることになった。次年度使用額は、このSEA 2021での研究発表等に使用する。
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Remarks |
セミナー発表:河端瑞貴・直井道生・安田昌平(2021)Earthquake risk reduction and residential land prices in Tokyo. The Urban Economics Workshop(東京大学) 受賞:2020年 東京大学空間情報科学研究センター CSIS DAYS 2020 優秀共同研究発表賞(安部由起子、河端瑞貴、柴辻優樹)
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