2020 Fiscal Year Research-status Report
都心回帰現象についての考察―人口構造変化に着目した研究
Project/Area Number |
20K01623
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
坂西 明子 立命館大学, 政策科学部, 教授 (00316085)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 居住地 / 就業 / 移動 / 都心回帰 |
Outline of Annual Research Achievements |
1990年代後半から2019年まで、東京圏では20年以上に渡り一貫して転入超過であった。また、東京都への年齢別にみた転入超過は、10代後半~20代の若年層が主である。 当該研究課題の初年度である2020年度には、若年層の東京への移動要因について考察した。東京への移動要因の重要なものとして挙げられるのが、就業を目的とした移動である。県外から東京に移動をした就業者、現住所に留まった就業者との属性の違いを検証し、県外からの移動者の持つ属性の特徴や移動に影響を与える要因を検証した。 ミクロデータを用いた分析より、県外から移動を行って居住地を変えた者は、高学歴、専門的、高技能の職業に就いている確率が高く、就業者の居住地選択は移動後の利得に影響を与えうる学歴、就業形態、産業、職業との関係があることが示された。東京都への若年層の流入増の要因として、大学等進学時の移動、高学歴化の進展、そして情報通信業やサービス業などの産業の雇用や専門的・技術的職業の職が東京に多いことが影響していることが分析の結果から示された。 このように、初年度となる2020年度の研究では若年就業者の居住地選択の考察を行い、都心回帰の進む東京でなぜ他地域からの若年層の転入が多いのかについて、詳細なデータ分析から要因を明らかにした。次年度以降には、都区部あるいは中心市に大都市圏内部からの流出入が変化している近年の傾向について、居住地選択の理論モデルと地域の時系列データを用いて分析を行い、都心回帰が進む要因について理論的・実証的に考察することを予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は当該研究課題の初年度に当たり、データの整備、文献や資料収集を行った。若年層の就業と地域への流入の関係に焦点を当てて研究を進めて、分析より一定の結果を得た。その一方で、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響もあって予定していた研究の一部について実施できなかった所もあり、次年度以降に実施することとする。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度以降には、2020年度の研究で得た知見も活かしながら、都心回帰の要因について、理論モデルと実証分析の両面から考察し、成果を学会発表や論文等の形で発表する。
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Causes of Carryover |
2020年度初めからのコロナウイルス感染症の拡大により、国内外への研究のための出張に大きな制限がかかり、支出を予定していた旅費を使うことがなかったことが主な理由である。今後、コロナウイルス感染症の状況により、問題が無くなれば、次年度以降に国内外の学会等の開催地での発表や研究のための調査による支出を行う予定である。
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Research Products
(2 results)