2023 Fiscal Year Research-status Report
都心回帰現象についての考察―人口構造変化に着目した研究
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20K01623
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
坂西 明子 立命館大学, 政策科学部, 教授 (00316085)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 都心回帰 / 家族規模 / 世帯人員 / 子ども / 少子高齢化 / 住宅面積 / 地代 / パワーカップル |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度にアメリカで行われた第62回Southern Regional Science Association(SRSA)カンファレンスで、家族数、特に子どもの存在に依存して、土地の消費への選好が高まり、地代勾配が緩やかとなることを示した理論モデルと実証分析の結果を示した。モデルの結果に基づくと、世帯規模の縮小、とくに子どもの減少による少子高齢化による人口構造変化によって、都心回帰を説明できる。2023年度には、過年度に発表した理論モデルについて、英文ジャーナルの査読誌に投稿できるように修正に取り組んできた。 本研究課題は新型コロナウイルス感染症の影響により、研究活動に支障を来した期間を数年間含んでおり、学振への申請により本研究課題の2024(令和6)年度末までの延長が認められた。令和6年度中に論文の査読を経て、本研究課題の研究成果をさらに発表する予定である。 また、2023年度には人口構造からの都心回帰を説明する分析の一環として、東京都心区での就業者の住宅立地の要因を考察する実証分析を行った。東京都都心区で働く既婚男性のミクロデータを用いて、従業地から住居市区町村までの距離を目的変数とした分析を行った結果より、世帯の人数、とくに子どもの数が多くなるほど、有意に遠距離に居住することが示された。そして、本人の職業が管理的、専門的・技術的な職業であること、妻が働いていてかつ正社員であること、妻の職業が管理的、専門的・技術的な職業である場合には、有意に職住近接の住宅立地となることが示された。夫婦の双方が高収入を得ている共働きのパワーカップルの台頭は職住近接の住宅立地を促し、都心回帰に寄与することが考えられる。令和6年度には、パワーカップルの増加と職住近接の住宅立地の関係について、理論モデルと実証分析から考察を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度に国際学会で発表した、都心回帰を少子高齢化の人口構造面から説明する理論モデルについて修正に取り組んできたが、英文ジャーナルの査読を経て査読誌に公開されるまでには時間が必要である。 本研究課題は日本学術振興会による新型コロナウイルス感染症の影響に伴う科学研究費助成事業の延長の承認を受けて、2024年度も取り組むこととなった。2024年度初頭の現在は新型コロナウイルス感染症からの研究への影響の問題はほぼ解消しており、学振による延長措置の効果を最大限に生かすように、2024年度には複数の論文発表と学会発表を行い、本研究課題の成果を十分に残せるように取り組みたい。
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Strategy for Future Research Activity |
本件研究課題は令和5年度が最終年度となる予定であったが、令和5年度に日本学術振興会より出された新型コロナウイルス感染症の影響に伴う科学研究費助成事業の延長の特例により、令和6年度(2024年度)が最終年度となることになった。 過年度の学会発表で、少子高齢化と都心回帰について研究のアイデアと理論モデルを発表したが、修正や査読等の関係で未公刊となっている論文について、最終年度の2024年度には、査読論文を含めて複数の論文の公表、そして2024年度中に新たに行う研究についても国内外の複数の学会での成果発表を行い、本研究課題の成果が大きくなるように取り組むことを考えている。
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Causes of Carryover |
本研究課題の実施中に生じた新型コロナウイルス感染症の影響などもあり、研究進捗が若干遅れていた。当初、2023年度が最終年度となる予定としていたが、2023年度中に行った日本学術振興会への申請により、2024年度の本研究課題の延長が認められたため、最終年度となる2024年度に学会発表の出張、英語論文の校閲、必要となる研究資料の購入などを計画的に行えるように、次年度使用額を残すようにした。
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Research Products
(2 results)