2021 Fiscal Year Research-status Report
The role of information and literacy about energy in households' preferences: Econometrics analysis
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20K01624
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
木下 信 龍谷大学, 経済学部, 准教授 (60396265)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エネルギーリテラシー |
Outline of Annual Research Achievements |
科研での主な研究は、エネルギーリテラシーの研究である。個人のエネルギーリテラシーが、省エネ住宅の選好に与える影響について、表明選好の1つである選択実験を用いて実証分析した。省エネ家電や住宅の普及が将来必要であると考えている。個人にエネルギーリテラシーに関する質問をし、個人のエネルギーリテラシーの高さが、省エネ住宅や太陽光パネルへの選好を高めると想定した。その結果、個人のエネルギーリテラシーの高さはこれらへの選好を高める効果はないものの、個人のエネルギーリテラシーにより選好の違いは見られた。個人のエシカル意識に関する研究では、個人のエシカル意識の高さが、エネルギー事業の選好に影響しないものの、個人は社会貢献に積極的な事業者を選好することは分かった。 2021年度は、これまで執筆し、昨年度学会発表した論文のジャーナルへの投稿、レフェリーコメントに基づく改訂、再投稿に時間を費やした。まず、個人のエネルギーリテラシーが、省エネ住宅の選好に与える影響に関する研究では、論文を英語化し、英文校正業者の指摘に基づいて、表現などを修正した。投稿に結果、掲載には至らなかったものの、比較的高い評価を頂き、現在別のジャーナルに投稿中、査読結果待ちである。他に、個人のエシカル意識が、エネルギー選好に与える効果を分析した研究についても、論文を英語化し、ジャーナルに投稿、査読結果待ちである。もう1つ、日本の電力・ガス小売り自由化に関する研究も実施した。この論文についても査読コメントに基づき改訂し、ジャーナルに再投稿、査読結果待ちである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は、これまでに執筆した論文の英語化、ジャーナルへの投稿、レフェリーコメントに基づく改訂、再投稿に時間を費やした。投稿する論文の本数が多かったため、次の新しい研究、つまり、エネルギーリテラシー研究の発展になかなか着手できなかった。新しい研究については、関連する論文のサーベイ、新しい計量経済学の手法の修得、現状の日本でのエネルギー問題の整理を重点的に実施した。これまで用いてきた手法であるコンジョイント分析がやや陳腐化しており、最近では、機械学習を用いた手法やフィールド実験をよく見かけるためである。日本のエネルギー問題においても、これまでは地球温暖化対策としての再エネが重視されていたが、電力不足が深刻であり、原発をどのように使うか、電力自由化後の再エネ買い取り制度も含むエネルギー供給体制の整備といった議論が必要だからである。 エネルギー研究と平行して、他の研究プロジェクトで新型コロナパンデミック下での個人の行動変容や、政策に対する評価に関する研究も実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでに執筆した論文のジャーナルへの掲載を目指す。その後は、2021年度に下調べしたことを活かし、新規の研究を進める。これまでの学会発表やレフェリーコメントを通して、エネルギーリテラシーの研究は評価が高かった。エネルギーリテラシー、とりわけ情報が選択行動に与える影響に関しては、省エネ住宅や機器、エネルギー源の選択に対して大きく影響を与えると考えられる。このテーマについては引き続き手法を変えるなどして多方面から研究する。個人のエシカル意識については、食品など一般的な消費行動に対する研究は数多く存在する。しかしながら、エネルギーについては、地球温暖化など様々な問題に対処する必要があるにも関わらず、先行研究があまり見当たらない。個人のエシカル意識から原子力発電への評価も含む電源構成や事業者の評価も考える必要もあると考えられるため、引き続き実施する。電力自由化に関する研究も必要である。
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Causes of Carryover |
学会がオンライン開催だったため、旅費を消化できず、翌年への使用となった。来年度は、アンケート調査をいくつか実施する予定である。
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Research Products
(1 results)