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2021 Fiscal Year Research-status Report

アフガニスタンにおける銅鉱山開発に伴う強制移住の長期的影響と補償政策の定量的研究

Research Project

Project/Area Number 20K01632
Research InstitutionHiroshima University

Principal Investigator

吉田 雄一朗  広島大学, 人間社会科学研究科(国), 教授 (70339919)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2024-03-31
Keywordsアフガニスタン / 強制移住 / 資源開発 / ランダム化コンジョイント実験
Outline of Annual Research Achievements

本研究の課題は、アフガニスタン政府が近年その豊富な鉱物資源の開発を通じて経済成長を促進するために行ったアイナック銅鉱山の開発の開始に伴う、近隣村の強制移住の効果とその最適な補償政策に関する実証的研究である。アイナック銅鉱山は世界最大級の銅埋蔵量を持つ銅鉱山であり、この開発プロジェクトに地理的に直接干渉する一つの村の全住民が強制的に移転された。本研究の目的は、この強制移住がこれら世帯の社会経済状況へ与える長期的な影響の分析と、これら世帯への望ましい補償政策および社会的ネットワーク再構築に必要な政策を実証的に明らかにすることであるが、本年度はこのうち、望ましい補償政策についての分析を中心に行った。そこでは、潜在的に想定可能なさまざま補償パッケージに対する住民の選好を特定するために、ランダム化コンジョイント分析を用いた。その結果、被災家族は満足のいく補償を提示されておらず、そのため、彼らの多くは補償パッケージを受け入れることに消極的であることや、補償を受け入れるかどうかの判断に影響を与えやすいのは、金銭的支援(一括払いかローン)と農地であることなどが明らかになった。これらの研究成果は、Khan, G. D., Yoshida, Y., Katayanagi, M., Hotak, N., & Caro-Burnett, J. (2021). Mining-induced displacement and resettlement in Afghanistan's Aynak mining community: Exploring the right to fair compensation. Resources Policy, 74, 102285. としてまとめられ、公刊された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

上述の通り、本研究の目的は、鉱山開発に伴う住民の強制移住がこれら住民の社会経済状況へ与える長期的な影響の分析と、これら世帯への望ましい補償政策のあり方の究明、および社会的ネットワークの再構築のために必要な政策の同定を実証的に行うことであるが、アフガニスタンにおける政情変化の影響で、多くのフィールドサーベイが実行不可能となっており、データの収集に支障が生じていることは否めない。これまでの研究で、鉱山開発に伴う住民の強制移住がこれら住民の社会経済状況へ与える影響のうちとくに重要な問題が、社会的ネットワークの喪失であることがわかっている。こうした失われた社会的ネットワークを再構築するために必要と思われる女性のモビリティの効果について、Randomized Encouragement Designを用いたフィールド実験を行う予定であったが、この実施の見通しが立っていないため。

Strategy for Future Research Activity

本研究の目的は、鉱山開発に伴う住民の強制移住がこれら住民の社会経済状況へ与える長期的な影響の分析と、これら世帯への望ましい補償政策のあり方の究明、および社会的ネットワークの再構築のために必要な政策の実証的同定の三つに大別されるが、このうち強制移住を受けた世帯に対する望ましい補償政策のあり方については上述の通り、Khan, Yoshida, Katayanagi, Hotak, & Caro-Burnett (2021) としてまとめられ、公刊された。今後は強制移住の長期的影響の分析について研究を進めていく。分析に必要なデータについては、アフガニスタン国における政情変化が起こる以前にフィールド調査が終了しており、今後はこうしたデータに基づいた分析と論文執筆を進めていく予定である。

Causes of Carryover

アフガニスタンにおける政情変化の影響で、多くのフィールドサーベイの実行が困難となっているため、次年度使用額が生じた。今年度は、今後の状況の変化を見極めつつ、研究補助を活用してこれまでに収集したデータを用いた分析を本格的に開始し、とくにアイナック鉱山開発プロジェクトによる強制移住が開発地域世帯の社会経済状況に与えた長期的影響に関する研究を行う必要があるため、その費用に充当する。

  • Research Products

    (3 results)

All 2021 Other

All Int'l Joint Research (1 results) Journal Article (2 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results,  Peer Reviewed: 2 results,  Open Access: 2 results)

  • [Int'l Joint Research] Nangarhar University(アフガニスタン)

    • Country Name
      AFGHANISTAN
    • Counterpart Institution
      Nangarhar University
  • [Journal Article] Mining-induced displacement and resettlement in Afghanistan's Aynak mining community: Exploring the right to fair compensation2021

    • Author(s)
      Khan Ghulam Dastgir、Yoshida Yuichiro、Katayanagi Mari、Hotak Nematullah、Caro-Burnett Johann
    • Journal Title

      Resources Policy

      Volume: 74 Pages: 102285~102285

    • DOI

      10.1016/j.resourpol.2021.102285

    • Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
  • [Journal Article] What farmers expect from the proposed formal agricultural credit policy: evidence from a randomized conjoint experiment in Nangarhar Province, Afghanistan2021

    • Author(s)
      Moahid, M., Khan, G. D., Yoshida, Y., Maharjan, K. L., & Wafa, I. K.
    • Journal Title

      Agricultural Finance Review

      Volume: 81 Pages: 578-595

    • Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2022-12-28  

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