2022 Fiscal Year Research-status Report
アフガニスタンにおける銅鉱山開発に伴う強制移住の長期的影響と補償政策の定量的研究
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20K01632
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉田 雄一朗 広島大学, IDEC国際連携機構:CEPEAS, 教授 (70339919)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アフガニスタン / フィールド実験 / 教育 / 農業 / 因果効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はまず、アフガニスタンの学校教師の職務満足度と動機付け要因に焦点を当てた研究を行った。本研究では、アフガニスタン首都カブールの378人の教師から得られたフィールド実験データを使用して、給与、一日あたりの授業数、クラスあたりの生徒数、仕事机、教師研修、居住地区など、提案された動機付け政策の関連要素が教師の満足度に与える因果効果を測定した。提案された教師の動機付け政策は、サンプルによって広く支持されていたことが明らかになった。この研究は、 "Measures to Motivate Teachers in Afghanistan: A Proposal,” Asia Pacific Education Review, November 2022, pp. 1-17. として公刊された。また、上記の研究と並行して、バングラデシュの災害被害農家2,519人を対象に、マッチングなどのさまざまな統計的因果推論の手法を用いて、農業クレジット政策の農業投資支出への因果効果を評価した研究を行った。調査には、全国的に代表的な5年間隔調査であるHousehold Income and Expenditure Study(HIES)2016-2017のデータを使用し、結果として、農業クレジットへのアクセスが農業投資支出に有利で有意な影響を与え、農家の投資能力と農産物の生産性を向上させるための政策ツールとして有効であることが示唆された。本研究も"Does access to agricultural credit help disaster-affected farming households to invest more on agricultural input?" Agricultural Finance Review, 83(1), 96-106 (2023).として国際学術誌に公刊された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的は、アフガニスタン政府が近年その豊富な鉱物資源の開発を通じて経済成長を促進するために行ったアイナック鉱山開発に伴う住民の強制移住がこれら住民の社会経済状況へ与える長期的な影響の分析と、その最適な補償、および社会的ネットワークの再構築のために必要な政策に関する実証的研究であるが、アフガニスタンにおける政情変化の影響によるフィールドサーベイの実行困難な状態が継続しており、引き続きデータの収集に支障が生じている。このため、上述した教育分野での研究など、フィールドサーベイが可能な範囲で、調査・実験を行いつつ研究を継続しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は、アイナック銅鉱山開発に伴う周辺村に居住する全住民の強制移住がこれら住民の社会経済状況へ与える長期的な影響の分析と、これら世帯への望ましい補償政策のあり方の究明、および社会的ネットワークの再構築のために必要な政策の実証的同定の三つに大別されるが、このうち強制移住を受けた世帯に対する望ましい補償政策のあり方については前研究年度中に、Khan, G. D., Yoshida, Y., Katayanagi, M., Hotak, N., & Caro-Burnett, J. (2021). Mining-induced displacement and resettlement in Afghanistan's Aynak mining community: Exploring the right to fair compensation. Resources Policy, 74, 102285.として公刊された。今後は強制移住の長期的影響について、アフガニスタン国における政情変化が起こる直前に収集されたデータを用いて引き続き分析と論文執筆を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
アフガニスタンにおける政情変化の影響により、フィールドサーベイの実行が困難な状況が継続している。実施可能な範囲で調査・研究を再開している状況であるが、前年度から引き続き次年度使用額が生じた。今年度は、現段階で得られているデータを最大限活用し、アイナック鉱山開発プロジェクトによる強制移住が開発地域 世帯の社会経済状況に与えた長期的影響に関する分析を継続して行っていくための費用にこれを充当する。
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Research Products
(4 results)