2023 Fiscal Year Research-status Report
アフガニスタンにおける銅鉱山開発に伴う強制移住の長期的影響と補償政策の定量的研究
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20K01632
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉田 雄一朗 広島大学, IDEC国際連携機構:CEPEAS, 教授 (70339919)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 鉱山開発 / 強制移住 / 公衆衛生 / 差分の差分分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、アイナック銅鉱山開発による強制移住が地域住民の健康状態にもたらした影響についての実証分析を行った。アフガニスタンのアイナック銅鉱山開発は、2011年に近隣のワリカリ村全体の強制移住を引き起こし、将来的には近隣の複数の村も移住が予定されている。鉱山開発による移住は、強制的であろうとも自発的であろうとも、移住者の健康を含む社会経済的影響が深刻であることが文献から示されている。この研究では、2011年の移住前と2021年の2つの時点で収集されたデータに、差分の差分法(DID)を用いて移住世帯と非移住世帯の健康状態の変化を比較した。結果は、移住した世帯の現在の生活状況はマラリア、下痢、皮膚疾患などの疾患が広まっており、健康リスクが高いことを示している。これらの結果は、適切な移住計画の必要性を強調しており、政策立案者は被災世帯の健康ニーズを考慮して移住と再定住プログラムを設計する際に包括的かつ持続的な取り組みを実施すべきであることを示唆している。以上の分析は、Huang, Q., Khan, G. D., & Yoshida, Y. (2023). Assessing Health and Dietary Issues of Households Displaced Due to the Aynak Copper Mine Project, Afghanistan. The Extractive Industries and Society, 15, 101299.として、国際学術誌に公刊した。また、その他にもガーナにおけるブロック価格の増加が電力需要の応答性に与える影響や、バングラデシュのスラム世帯の金融包摂と支出パターンに関する実証分析、同じくバングラデシュの農村沿岸世帯の教育支出の詳細化を促進するための補助金と食糧支援政策の効果などについての研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年8月に起こったアフガニスタンの政情不安定により、現地調査の遂行に困難が生じているため。
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Strategy for Future Research Activity |
現地調査の実施に向けてアフガニスタン国内の政情の安定を待つ一方で、現在すでに利用可能なデータを用いた分析を進めつつ、関連する研究を他の地域なども含め進めていく。
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Causes of Carryover |
2021年8月に発生した、アフガニスタン国内の政情不安定のため、現地調査およびフィールド実験の実施に遅れが生じているため。今年度は、現在すでに利用可能となっているデータを用いた分析を進めていく一方で、可能であれば関連する研究を他の地域も含めて行っていく。
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Research Products
(4 results)