2021 Fiscal Year Research-status Report
スキル偏向的技術進歩と人口動態の変化がマクロパフォーマンスに与える影響
Project/Area Number |
20K01635
|
Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
滝澤 美帆 学習院大学, 経済学部, 教授 (50509247)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 高齢化 / 早期退職 / 生産性 / 人的資本投資 / 働き方 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本経済の停滞の要因としては、生産性の低迷に加え、高齢化といった人口動態の変化に注目が集まっている。本研究では、高齢化が企業の資源配分やパフォーマンスに与える影響や生産性に関連して人的資本投資に関する分析を行うことを目的としていた。 2021年度は分析のために必要な政府個票を入手し、改正高年齢者雇用安定法の施行により、事業所内の労働者の年齢構成に変化があったのか、若年雇用が高齢雇用に置き換わったのかを分析した。また、早期退職データを個票データとマッチングし、早期退職を実施した企業において企業内の資源の再配分がどのように行われたのかを分析した。具体的には、早期退職を実施した企業において、企業のイノベーション活動や生産性、生産要素の変化、事業所の年齢構成の変化に影響があったかどうかを分析した。 人的資本投資に関しては、コロナ下における人材投資(OJTやOff-JT)の変化について、労働者調査に加えて、企業調査も実施した。労働者調査では、労働時間に占めるOJTやOff-JTの割合をコロナ前後で調査した。また5年前、10年前と比較したOJTやOff-JTの時間割合についても調査した。同時に、配置転換があった場合や新しい機器などの導入時に訓練を受けたかどうかなど、人材投資に関する包括的な調査を行った。労働者調査の結果は、ディスカッションペーパーとして取りまとめ公表した。 このほか、人的資本投資に関連して、上場企業データを用いたコロナ下の在宅勤務決定要因や健康経営と企業パフォーマンスの関係を分析し、報告書として公表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度に申請した政府個票データを入手後、分析のためのデータセットを迅速に整備し研究にとりかかることができたため、2021年度内に研究の成果を複数、ディスカッションペーパーとして公表することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画書通りに、論文改訂作業、学会発表、国際査読誌への投稿作業を行う。 人口動態の変化が経済成長に与える影響については、早期退職データを利用した分析を国際査読誌に投稿する。 人的資本に関する研究については労働者調査に関しては取りまとめを行ったが、企業調査については、データの整備を行い、人材投資と生産性の関係などを分析し、研究成果の公表を目指す。 上場企業データを用いた分析でも、人的資本投資と企業パフォーマンスについて分析後、結果を報告書として公表する。
|
Causes of Carryover |
予定していた海外での研究発表の機会がなくなったため。2022年度に計量分析ソフトウェアのアップデート、高性能ラップトップPCへの使用を検討している。
|
Research Products
(5 results)