2020 Fiscal Year Research-status Report
Theoretical Study on Sustainable Development in Developing Countries
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20K01636
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大東 一郎 慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (30245625)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 持続可能な開発 / 再生可能資源 / オープンアクセス / 都市失業 / ハリス・トダロモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
1.農村資源財の過大生産と都市失業を同時に解消する最善政策の導出、資源財への輸出税や都市での賃金補助金といった政策効果の分析、それらによる資源管理制度の内生的変化のインセンティブの分析を行ったDaitoh and Tarui(University of Hawaii Working Paper,2019)論文に、国内外の学会発表で得たコメントを取り入れ、国際学術雑誌に投稿した。エディターから改訂を認める旨の連絡があったので、審査レポートのすべての論点に対して改善を加えた改訂版を再提出し、現在も審査結果を待っている。
2.農村部門に資源財産業だけでなく農業もあると想定した二重経済モデル(3)を構築する方法を探る作業を行った。すなわち、農村部門に農地転換の可能性を取り入れた2部門モデルを用いた複数の先行研究論文や、近年の農業経済学で発表されている「構造転換(structural transformation)」を考察する国際学術雑誌の論文を読解した。また、当該モデルを構築する具体的な方法を考案するべく、Matsuyama(1992、Journal of Economic Theory)を基礎にモデルを試作し、均衡の性質を調べる作業を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」に記した2種類のモデル分析や研究は、順調に進んでいる。
再生可能資源ストックと都市失業率の2変数の連立微分方程式モデル(2)に関しては、共著者との間で問題意識の共有が難しいことが見えてきたため、共同論文の原稿は作成せず、単著とする方向で経済学的考察を深めている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.農村都市間人口移動と資源ストック動学が同時に生じる連立微分方程式モデル(2)を基礎として、農村資源の保全と都市貧困の軽減との両立可能性について、経済学的考察を深める。とくに、自給自足経済と小国開放経済とで異なる結果が得られるので、それらを比較する視点も含めて、論文原稿を作成する。
2.農地転換の可能性も考慮に入れた二重経済モデルを構築し、農村資源財の過大生産と都市失業を同時に解消する政策の可能性を探る。
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Causes of Carryover |
当初予定していたハワイ大学での研究会合について、現地ハワイの共同研究者より新型コロナウィルスの影響で会合延期の申し入れがあったため、出張を中止せざるを得なくなった。改めて研究会合を再調整して、研究を引き続き遂行していきたい。
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