2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K01638
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
郡司 大志 大東文化大学, 経済学部, 教授 (50438785)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 憲治 法政大学, 経済学部, 教授 (10308009)
三浦 一輝 愛知学院大学, 総合政策学部, 准教授 (70711159)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 伝統的金融政策 / メタ分析 / 銀行業 / 法定準備率 / Bartik操作変数 |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究課題は3つの報告で研究を進めている。第1に、メタ分析においてはデータの所在を絞り込みデータ入力の作業中である。インターネットで入手可能でないものも多く含まれており、手作業で紙の媒体をスキャンし、インパルス応答の大きさを入力するため、入力に時間がかかっている。古い論文ではインパルス応答関数の信頼区間が示されていないものが多いことがわかり、サンプルとして利用できなくなってしまった。次年度にはデータ入力を終え、推定も行いたい。第2に、理論モデルの構築は概ね終わった。基本的な銀行モデルに金融政策の要素を入れ、校正を最大にする政策金利を求めた。これを論文として書き上げる作業が残っている。第3に、法定準備率が銀行行動に影響を与えるかどうかを実証分析した。データの入力、推定、論文の執筆と順調に進み、国際的な学術雑誌に投稿することができた。 この他に、伝統的金利政策の効果を測る方法として、操作変数を用いた推定も検討した。これまでの操作変数法では自然実験としての適切な操作変数を探すのに大変な苦労を要した。他方で、近年ではBartik (1991) によるシフトとシェアとを組み合わせた操作変数や、Nakamura and Steinsson (2014) によるダミー変数を多用した操作変数など多くの試みがなされており、それらを伝統的金利政策の効果の推定に役立てることを考えた。データの入力と操作変数の作成は概ね終わったため、推定と論文執筆を次年度に終わらせたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
最も大きな要因は、インパルス応答関数を用いた先行研究で信頼区間が示されているものがあまり多くないということがわかった点である。メタ分析においては信頼区間や標準誤差の推定値が重要となってくるため、更に範囲を広げてサンプルを集めねばならなくなった。次に大きな要因は、理論分析において複数の政策金利が選択可能なことがわかり、場合分けをしなければならなくなった点である。それぞれの政策金利に応じて厚生も変わってくることから、慎重に分析を進めなければならなくなってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
メタ分析においては、データの入力作業を完了させ、推定・執筆にとりかかる。先行研究の弱点もわかってきたため、それを補うように分析を進めたい。理論分析においては、先行研究との違いを明確にし、本研究の長所を確認した上で執筆を進めたい。新たに始めた操作変数法による推定では、他分野で同様の推定方法を採用している先行研究を参考にしながら、推定・執筆作業にとりかかりたい。 すべての作業を次年度までに終わらせたいが、終わらない場合には研究期間の延長も検討したい。
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Causes of Carryover |
研究打ち合わせや学会出張など、新型コロナの影響で全く使うことができなかったため。次年度は積極的に活用していきたい。
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