2021 Fiscal Year Research-status Report
労使コミュニケーションが人事制度改革の実施・成果に与える影響
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20K01641
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
齋藤 隆志 明治学院大学, 経済学部, 教授 (60437283)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 労働組合 / 賃金格差 / 労使コミュニケーション / 生産性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、労働組合がすでに存在する企業間において、(1)労使コミュニケーションのあり方の違いが、人事制度改革に影響を及ぼしているかどうか、(2)さらに改革の成果の違いを発生させているかどうかについて、労働組合への聞き取り調査ならびに企業データ・従業員データを接合したデータセットを用いた実証分析を組み合わせて、解き明かすことである。 2021年度は本プロジェクトの2年目で、海外(パリ)の研究者とオンラインで意見交換を行いながら、(1)に関して労使コミュニケーションのあり方が、人事や賃金制度の中でも特に男女間の賃金格差に対して、どのような影響を与えるのかに関して、公益社団法人国際経済労働研究所のデータを用いた実証分析に着手した。本分析に関しては2022年度に最終的な結果を確定させて、学会報告やジャーナルへの投稿を行いたい。また、同研究所の研究員や労働組合関係者とのオンライン会議において、本研究に関連した情報をいただいたり、アドバイスを受けたりすることができた。 これらの作業と並行し、(1)に関連する研究として、CSR企業総覧データを使用し、労働組合の存在が企業内の賃金格差にどのような影響を与えるかについて、名古屋市立大学の研究会にて報告し、コメントをいただいた。これを反映して改訂を行い、共著者が所属する中央大学のディスカッションペーパーとして発表し、現在英文雑誌に投稿中である。また(2)に関連する研究として、労働組合の存在が生産性に与える影響に関する共同研究を開始し、RIETIのコーポレートガバナンス研究会にて報告を行った。得られたコメントに基づいて現在データ分析をやり直しており、こちらは年内にディスカッションペーパーとしてまとめることを予定している。 なお前年度までに終了した研究成果が、2本の査読付論文としてジャーナルに掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響で労働組合への聞き取り調査が延期となっていたが、研究実績の概要欄で述べたようにオンライン会議によってある程度の情報を得ることができた。また、計画にある実証分析についても着手することができ、次年度に完成する見込みが立った。関連する研究についても複数のものが同時並行で進められており、一本はジャーナルへの投稿をすることができた。以上のことを総合的に判断し、進捗状況は「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に引き続き、労使コミュニケーションのあり方が、人事や賃金制度の中でも特に男女間の賃金格差に対して、どのような影響を与えるのかに関して、公益社団法人国際経済労働研究所のデータを用いた実証分析を行い、論文にまとめる。また、労働組合の存在が企業内の賃金格差にどのような影響を与えるかの実証分析は、投稿先ジャーナルから返答が得られ次第改訂を行い、掲載を目指す。さらに、労働組合の存在が生産性に与える影響に関する共同研究について研究会で得られたコメントに基づき追加的な分析を実施して、年内をめどににディスカッションペーパーとしてまとめる。
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Causes of Carryover |
コロナ禍による国内外の出張が不可能になったこと、また物品の購入に遅れが生じたことが原因で若干の次年度使用額が生じた。とはいえ昨年度は初年度よりも特に秋以降に社会的な活動が活発化したこともあり、出張等の実施が可能となった。最終年度に当たる今年度中をもってすべての支出計画を実施できる見込みである。
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Research Products
(2 results)