2023 Fiscal Year Annual Research Report
労使コミュニケーションが人事制度改革の実施・成果に与える影響
Project/Area Number |
20K01641
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
齋藤 隆志 明治学院大学, 経済学部, 教授 (60437283)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 労働組合 / 労使コミュニケーション / 賃金格差 / 生産性 / 人事制度 / 雇用慣行 / 労使協議制 / 企業業績 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトにおける2023年度の主な成果は以下のとおりである。第一に、労働組合の存在が企業内の賃金格差を縮小させていることを示した共著論文を、RIETIのDPとしてウェブに掲載し、英文雑誌への再投稿を実施した。この論文では、労働組合有無についての内生性に対処するため、内生的トリートメント効果モデルを使用した。第二に、労働組合の存在が生産性に正の影響を与えているという分析結果を共著論文にまとめ、2023年12月に開催された国際学会において報告した。その際のコメントを参考に改訂し、現在投稿準備中である。この論文では、生産関数の内生性に対処するためシステムGMM等の手法を用い、さらに労働組合有無についての内生性に対処するため、上記と同様内生的トリートメント効果モデルを使用した。第三に、労使コミュニケーションのあり方が、人事や賃金制度の中でも特に男女間の賃金格差に対して、どのような影響を与えるのかに関して、公益社団法人国際経済労働研究所のデータを用いた実証分析を学内誌に掲載し、さらに現在これを改訂して投稿準備中である。これはパネルデータにはなっていないものの、労働組合員のデータと所属する企業とをマッチさせられるうえ、サンプルサイズも大きい非常に貴重なデータであることから、一定程度の新規性を有しているといえる。 これらのほか研究期間全体の成果としては、労働組合活動が従業員のウェルビーイングに与える影響についての実証研究が学内誌に掲載され、さらに関連する研究として、労使コミュニケーションと成果主義導入効果の関連に関する実証論文、儒教の考え方と日本型経営の関連に関する実証論文、ワークライフバランスと生産性・企業業績との関係についてサーベイした論文を学術誌に掲載した。
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