2020 Fiscal Year Research-status Report
Research on environmental policy improving by information provision, auctions, and ICT-based market governance
Project/Area Number |
20K01643
|
Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
中泉 拓也 関東学院大学, 経済学部, 教授 (00350546)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 認知バイアス / エコラベル / トップランナー / 集積分析 / 逆集積分析 / 不完備契約理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
Nakaizumi[2021]では、Saez [2010]、Ito and Sallee [2018]で展開された集積分析の、いわば逆集積分析を展開し、離散的に変化する推定量から逆に因果要因を特定する手法を提案した。 バンチング(Bunching)は、属性を離散的に変更する離散的な因果要因がある場合にのみ発生する。 したがって、規制内の特定の要因によってのみ生じたと断定することができ、これを利用して、バンチングが起こった要因から、逆に因果要因を特定することを提唱した。そして、Nakaizumi[2021]では、この推測を、エネルギー効率でバンチングが発生したトップランナープログラムに適用した。 その結果、日本のトップランナープログラムで使用されているエコラベリングによって、バンチングが引き起こされている。つまり、バンチングポイントでエコラベルの色を変えているが、これによって、バンチングが発生したと考えられる。その結果、色の違いが過度な需要の変化につながる認知バイアスが存在したことを示すことができた。結果は、全米経済学会で報告した。 なお、国土交通省で行われた環境負荷低減のためのオークション制度を用いた実証実験に関して、オークション理論を用いた検証、当該オークションで特に得られた知見の分析については、データの整理を行った。次に、本研究のテーマ5)ICTの発展による市場のガバナンス機能の改良による環境保全を目指し、ブロックチェーンや情報プラットフォームの活用による環境対策の検討に関連して、マッチングプールでの自発的な企業活動で、不完備契約の状況で企業特殊的もしくは企業普遍的な技能を企業が労働者に提供する状況で、企業普遍的な訓練が普及する条件について考察した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、まず、1)経済産業省が推進してきたトップランナー基準におけるエコラベルの効果を集積分析を用いて分析する。2)次に、国土交通省で行われた環境負荷低減のためのオークション制度を用いた実証実験に関して、オークション理論を用いた検証、当該オークションで特に得られた知見の分析を行う。そして3)プライスキャップ規制を応用し、温暖化ガスなどの環境汚染物質に関する排出に対するキャップ規制を課すことの効果を検証する。次に4)家電リサイクル法のデータを用いて、拡大製造物責任制度と比較検証する。最後に5)ICTの発展による市場のガバナンス機能の改良による環境保全を目指し、ブロックチェーンや情報プラットフォームの活用による環境対策の検討を行う。このうち1)について一定の成果を得ることができたため、おおむね順調に推移している。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究では、1)経済産業省が推進してきたトップランナー基準におけるエコラベルの効果を集積分析を用いて分析する。2)次に、国土交通省で行われた環境負荷低減のためのオークション制度を用いた実証実験に関して、オークション理論を用いた検証、当該オークションで特に得られた知見の分析を行う。そして3)プライスキャップ規制を応用し、温暖化ガスなどの環境汚染物質に関する排出に対するキャップ規制を課すことの効果を検証する。次に4)家電リサイクル法のデータを用いて、拡大製造物責任制度と比較検証する。最後に5)ICTの発展による市場のガバナンス機能の改良による環境保全を目指し、ブロックチェーンや情報プラットフォームの活用による環境対策を検討する。というものであり、まずこの1)に該当するエコラベルの分析について一定の成果を上げることができた。今後は1をさらに精緻化するとともに、他の研究テーマについても進めていく。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍で学会出張ができず、また予定していたバンコクでの経済実験もできなかったため。次年度以降、コロナ禍の鎮静状況をみながら、バンコクでの実験、海外学会での報告などを行っていく。
|