2022 Fiscal Year Research-status Report
Trade Patterns and Environmental Regulations on International Transport
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20K01645
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
寳多 康弘 南山大学, 経済学部, 教授 (60327137)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川端 康 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 教授 (50308839) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 国際輸送 / 汚染排出 / 排出量取引 / 交易条件 / 経済厚生 |
Outline of Annual Research Achievements |
世界的な地域貿易協定の増加は、遠距離国間の国際貿易の増大をもたらし、それに伴って国際輸送の役割はますます重要となっている。そこで、貿易の拡大による国際輸送からの汚染排出量の増加が懸念されており、国際輸送に対する環境規制の強化が必要とされている。
本研究では、輸送サービスならではの特徴を考慮に入れた国際貿易の理論モデルを構築して、貿易国間の輸送量と貿易品目の違いによる輸送コストの非対称性が、各国の貿易パターンと汚染排出量にどのような影響を与えるかについて考察する。また、国際輸送に対する環境規制の強化は、輸送コストの非対称な変化を通じて、各国の貿易パターンと汚染排出量にどのような影響をもたらすのかについて明らかにする。そして、貿易の利益と汚染削減の利益を考慮して、国際輸送に対する環境規制の経済厚生への含意を導く。
環境規制の強化、貿易パターン、および汚染排出量については、研究成果としてTakarada et al. (2022)がある。そこでは、国際的な排出量取引が国際輸送部門でのみ実行された場合に、どのようなタイプの国が排出量を購入する国になるのか、売却する国になるのかを明らかにした。そして、排出量取引によって、国際輸送部門は効率的に排出量を減らすことができるので、一定の世界的な排出量でも、国際輸送サービスの生産量は拡大することになる。その結果、国際輸送サービスの価格には低下圧力がかかり、国際輸送サービスの輸出国の交易条件が悪化することになる。財の交易条件効果もあるので、国際輸送サービスの価格の低下によって需要が増える財を輸出するのかどうかによって、総合的な交易条件効果が決まってくることを示した。国際輸送部門での国際的な排出量取引を導入する際に留意すべき点を明らかにしており、政策的にも意義のある研究である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で記載したように、研究成果が海外の査読付きの英文学術雑誌に掲載されており、研究成果は着実に出ているといえる。
コロナ禍のために学会などでの報告機会が減少して、研究成果に対するフィードバックを得られにくい状態が続いたが、2022年度は改善した。それにより、意見交換の機会も増加して、理論モデルをより現実に即した設定にしたり、理論モデルの精緻化を行う方針を明確にすることができた。よって、延長した次年度も引き続き理論モデルの精緻化などに取り組んでいく。
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Strategy for Future Research Activity |
研究成果Takarada et al. (2022)の基本アイデアに基づいて、理論モデルの拡張を行う。拡張の方針として、輸送サービス自体の質的側面を考慮に入れる。国際輸送サービスといっても、様々なものがあり、輸送方法によっては、輸送により品質が維持されたり、大きく損なわれるものもある。そこで、輸送サービス部門では、輸送サービスの質の競争が生じているとして、価格だけでなく輸送サービスの質も考慮した分析に拡張する予定である。
研究内容は、研究会で早期に報告をして、研究成果に対するフィードバックを得る。それに基づいて、理論モデルの改良を進めていき、新たな研究成果として論文にまとめる予定である。その後に、海外の英文学術雑誌への投稿を目指す。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により研究期間の前半に国際学会などに参加する機会がほとんどなくなったため、研究成果の発表などが順調に行えなかった。
2022年度からは平常に戻りつつあり、研究計画の遂行が順調にできるようになった。次年度の2023年度はほぼ平常に戻ると予想され、研究成果をとりまとめる最終年度として、学会発表などを精力的に行う予定である。そのために、次年度の使用額が生じている。
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Research Products
(4 results)