2021 Fiscal Year Research-status Report
The Role of Postal Fnancial Inclusion on Reducing Poverty in India
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20K01655
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
井上 武 神戸大学, 国際協力研究科, 准教授 (20450546)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 金融包摂 / 郵便ネットワーク / 国際送金 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、本研究課題について、1)先行研究のサーベイと、2)収集したデータに基づく実証分析を行った。1)については、今年度も昨年度に引き続き、現地インドでの調査を行うことができなかったため、2022年度に実施予定の現地調査に向けて、事前の準備として関連する先行研究を広くサーベイした。本研究課題では、郵便ネットワークを通じた金融包摂が中心的な課題であるため、決済銀行設立以前のインド郵政時代の金融包摂における役割について、関連する文献をサーベイし、19世紀以来の郵便金融の歴史的な役割について考察した。 2)については、金融包摂に関するデータを直接入手することはできなかったため、引き続きデータの入手に努める一方、本研究課題と関連が深いインド郵便決済銀行を含むインドの商業銀行の収益性に関するデータを収集し、業態や資本構成の相違と収益性の間の関係性を中心に分析を進めた。インドでは伝統的に政府が主要な株主となっている公共部門銀行が資産規模、貸付額、預金額、支店数などの点で大きな役割を果たしてきたが、近年、国内民間銀行を始めとする公共部門銀行以外の銀行グループが大きく成長し、公共部門銀行優勢の状況を変えつつある。こうした中で、政府が主要な株主ながら新たな銀行形態として誕生したインド郵便決済銀行がどのような位置づけを占め、収益性や健全性の点でどのように評価され得るかについて関連するデータから検証した。 本研究課題は、現地での実際の活動を詳細に考察することが研究を進め、成果を挙げる上で必要不可欠であると考えており、2021年度まで実施した上記の活動を2022年度の現地調査に生かしたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は本研究課題の2年目にあたり、現地調査を通じてデータの収集等を行うことを課題としていたが、新型コロナウイルス感染症の拡大により、実施することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点(2022年5月)では、2022年度中に現地調査を実施できるか判断できない。このため、現地調査の準備は進めつつ、インド国外でも入手できる関連データの入手に努める。また、本研究課題ではインド郵便決済銀行による金融包摂実現に向けた役割という公共性に焦点を当てているが、銀行である以上、収益性や健全性についても留意する必要があると考えられる。このため、入手できるデータに基づき、郵便ネットワークを通じた金融包摂を担うインド郵便決済銀行の収益性と健全性について分析を進め、その持続可能性を明らかにすることを本研究の課題に加えることを考えている。
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Causes of Carryover |
2021年度にインドで本研究課題について現地調査を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響により同国への渡航が困難になり、その結果、当該助成金が発生した。2022年度後半に、現地調査の実施を計画している。
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