2023 Fiscal Year Research-status Report
The Role of Postal Fnancial Inclusion on Reducing Poverty in India
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20K01655
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
井上 武 神戸大学, 国際協力研究科, 准教授 (20450546)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 金融包摂 / 郵便金融 / 貧困削減 / インド |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、本研究課題について1)先行研究のサーベイと、2)収集したデータに基づく実証分析を行った。 1)については、2023年度は1年間、在外研究期間でタイ王国に滞在したため、インドでの現地調査を行うことができなかった。このため、関連する先行研究を幅広くサーベイした。特に、インドでは近年、郵便局が決済銀行を設立し、金融包摂の一翼を担っていることから、郵便決済銀行を含むインドの銀行部門を対象に、その収益性に影響を与える要因を分析した既存研究を広くサーベイした。これを通じて、過年度とは異なる視点から、郵便局を通じた金融包摂について理解を深めることができた。 2)については、昨年度実施したインド郵政から入手したデータに基づく分析について、異なる分析手法を用いた再検証を試みた。具体的には、これまでの分析には含まれていなかった、金融包摂が進んでいる国と遅れている国の相違を考慮に入れることが可能となる手法を用い、金融包摂の進展状況の相違が郵便ネットワークを通じた貧困削減効果に影響を持つかについて分析を行った。分析結果から金融包摂の普及状況は分析結果に影響しないことが明らかになった。このため、2022年度まで行ってきた分析をさらに精緻化し、研究を継続する方向性を確認することができた。 2023年度はインドの大学に所属する研究者と本研究課題とは異なるテーマで共同研究を開始した。このような共同研究の機会を通じて、郵便ネットワークがインドでは実際にどのように機能してきたかについて議論し、その内容を分析にも反映させている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度は本研究課題とは異なる研究課題で在外研究を行ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度はインドの研究者との共同研究ネットワークを通じて、インドにおける郵便金融の実相について情報を収集し、これまで行った先行研究のサーベイや実証分析と結びつけることで、学術論文を執筆し、具体的な成果につなげる。
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Causes of Carryover |
2023年度は1年間、在外研究に従事し、本研究課題を事前の計画どおり遂行することができず、補助事業期間の延長を申請したため。
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