2020 Fiscal Year Research-status Report
A Study of the Effect of Democratic Institutions and Public Debt on the Secession and Integration of Wealthy Regions
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20K01665
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
佐藤 茂春 中京大学, 総合政策学部, 准教授 (00432849)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 地域分離 / 地域統合 / 投票制度 / 負債 / 富裕地域 / 天然資源 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では連鎖的な富裕地域分離や統合が起きる要因を分析する。富裕地域の分離独立は、現実的には多くの地域で発生しうる状況である。例えば、イギリスはEUを離脱した。イギリスはEUの中でも裕福な国であり、負担金の拠出も大きい。つまり、富裕地域である。イギリスが分離したことで、イタリアなどの他のEU加盟国も連鎖分離する恐れが出ている。さらに、イギリス内のスコットランドやウェールズの独立問題という階層的な構造にも注目すべきである。イギリスがEUを離脱したことで、スコットランドはイギリスからの独立の機運が高まっている。また、統合に関しては東ヨーロッパ諸国がEUへ次々に加入している状況への応用を考えている。 イギリスのEU分担金や地方自治体合併時の公債発行増加などに見られるように、地域の分離統合に公的債務の与える影響は大きいと考えられる。同様に、アメリカでは高所得者の多い地域が分離し、新たな自治体を作る動きが活発化している。そこで、本研究では、地域分離が起きた際に、従前の国家体制の公的債務が継承されるかどうかにより、分離が決定されるモデルを構築し、実証分析を行う。当初計画では2020年度に地域分離の基本モデルを完成させ、 2020年度中の国際学会での報告を計画していたが、新型コロナウイルスの影響で断念することとなった。そのため、2020年度は分析の基本モデルを完成させることに注力し、成果報告は2021年度以降に行うこととした。 並行して、富裕地域の裏付けが天然資源の場合の分析を共同研究者と開始した。北海油田に関わるスコットランドの独立問題など、資源は地域分離の促進要因と考えられている。資源価値が地域分離を促進するのか、また、その地域の厚生を高めるのかについて今後分析していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた学会発表が新型コロナウイルスによる影響で実施できなかったこともあり、当初計画より遅れがでている。しかしながら、天然資源に関する共同研究はオンラインミーティングを利用して順調に進んでおり、総合的には大幅な遅れとは言えないため、上記のように評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
理論モデルの分析を進めることと並行して、実証データの収集と分析に取り組む。
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Causes of Carryover |
主に新型コロナウイルスの影響で予定していた学会発表を取りやめたため。次年度使用分は資料、データ収集費、英文校閲費、および、新型コロナウイルスによる出張制限が緩和された後に、旅費として使用する事を計画している。
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